天降言(読み)アモリゴト

デジタル大辞泉 「天降言」の意味・読み・例文・類語

あもりごと【天降言】

田安宗武の和歌集。成立年不詳。1巻。田安没後家臣狛諸成編纂へんさんしたものとされる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「天降言」の意味・わかりやすい解説

天降言
あもりごと

江戸中期の大名、田安宗武(たやすむねたけ)の歌集。宗武没後にある家臣が編集したものを家臣藤原直臣(なおみ)が筆写した。1巻。短歌307首、旋頭歌(せどうか)2首がある。この歌集は、(1)1716年ごろから1748年ごろまで、(2)1716年ごろから1751年ごろまで、(3)1751年ごろの「堀河初度(ほりかわしょど)百首題」による歌、(4)1754年以後の歌、など四つの部分に分けられる。侍臣賀茂真淵(かもまぶち)の影響を受けてから歌が躍進し、歌の特色万葉調、写生的である。

[辻森秀英]

 霞(かすみ)わけて雁(かり)帰る見ゆ行く先の遙(はる)けきもへばあはれむ吾は(帰雁

『土岐善麿校註『朝日古典全書 宗武・曙覧歌集』(1950・朝日新聞社)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「天降言」の意味・わかりやすい解説

天降言
あもりごと

江戸時代中期の歌集。田安宗武著。1巻。成立年未詳。宗武没後,その家臣による編纂という。歌数は 309首。そのうち2首は旋頭歌。作品はほぼ制作年代順に収められ,宗武生涯の歌風変遷を知ることができる。歌風が後世風から万葉風へと変化した過程には,「ますらをぶり」の歌を提唱した賀茂真淵の影響が大きい。しかし,その歌の率直でおおらかな調べは,師の真淵をこえる達成をみせ,万葉調に迫っている。

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