デジタル大辞泉 「万葉調」の意味・読み・例文・類語 まんよう‐ちょう〔マンエフテウ〕【万葉調】 万葉集の歌の特色をなす調べ。一般的には、現実生活における素朴な感動、強い実感を率直に表現し、格調は雄健でおおらか。五七調を主とし、短歌では二句切れ・四句切れが多い。賀茂真淵かものまぶちは「ますらおぶり」と称した。 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例 Sponserd by
精選版 日本国語大辞典 「万葉調」の意味・読み・例文・類語 まんよう‐ちょうマンエフテウ【万葉調】 〘 名詞 〙 歌論で、「万葉集」の特徴的な歌のよみぶりやしらべをいう。古今調や新古今調に対して、実感が切実・直截(ちょくせつ)に表現され、素朴・雄渾で格調が高いことを「万葉集」の特徴として捉えたもの。このしらべの歌を詠んだ歌人には、中世の源実朝、近世の賀茂真淵・良寛などがあり、特に真淵は古今調の「たおやめぶり」に対し「ますらおぶり」と称した。明治時代になって正岡子規によって賞揚され、歌壇に大きな影響を与えた。万葉振り。[初出の実例]「仏蘭西や英吉利へ行くと随分天明調や万葉調が食へるんだが」(出典:吾輩は猫である(1905‐06)〈夏目漱石〉二) 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例 Sponserd by
百科事典マイペディア 「万葉調」の意味・わかりやすい解説 万葉調【まんようちょう】 《万葉集》の歌に見られる特徴的な調(しらべ),歌風。清新な感動を率直に表現。技巧的・観念的な〈古今調〉とは対照的であり,賀茂真淵はこれを〈ますらおぶり〉と呼んだ。鎌倉初期の源実朝,江戸時代の田安宗武,良寛,橘曙覧(あけみ),平賀元義などがこの流れをくみ,明治以後は正岡子規とアララギ派歌人がこの歌風を尊重。→関連項目会津八一|伊藤左千夫|太田水穂|香川景樹|楫取魚彦|金槐和歌集|斎藤茂吉|新古今調|長塚節 出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報 Sponserd by
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「万葉調」の意味・わかりやすい解説 万葉調まんようちょう 『万葉集』の歌全般を通じて特色となっている調べ。狭義には韻律に限っていわれることもあるが,一般には表現,内容と関連づけて論じられることが多い。おおむね素朴,雄大,重厚,明朗,直截などの語をもって説明されるが,賀茂真淵が『古今集』以後の「たをやめぶり」に対して「ますらをぶり」と評したのは有名。万葉調の意識は後世の歌人などの万葉復古の過程から生じたものである。万葉調歌人として鎌倉時代の源実朝,江戸時代の賀茂真淵,田安宗武,楫取魚彦 (かとりなひこ) ,村田春海,良寛,生田万,平賀元義らがあり,明治になってからは正岡子規が万葉調の復活を唱え,以来伊藤左千夫,島木赤彦,斎藤茂吉ら『アララギ』派の歌人が万葉調の歌をつくり,歌壇の一大勢力となった。 出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報 Sponserd by