失書(読み)しっしょ(その他表記)agraphia

翻訳|agraphia

精選版 日本国語大辞典 「失書」の意味・読み・例文・類語

しっ‐しょ【失書】

  1. 〘 名詞 〙しっしょしょう(失書症)

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改訂新版 世界大百科事典 「失書」の意味・わかりやすい解説

失書 (しっしょ)
agraphia

大脳の破壊によって,文字が書けなくなる状態をいう。ベネディクトM.Benediktによって初めて記載された(1865)。この際,手指運動障害や知能障害によるものは除かれる。失書はその原因と障害の程度によって四つに分類される。(1)失語症によるもの 失語症では,ほとんどつねに失書を生じ,失語性失書という。自発書字,書取りは障害されるが写字は障害されない。大脳の損傷部位は〈失語症〉の項を参照されたい。(2)観念運動失行によるもの 筆の把持運行に障害があるために生ずる症状である。自発書字や書取りだけでなく,写字も障害される。(観念運動)失行性失書と呼ばれる。左頭頂,側頭葉の破壊で生ずる。(3)構成失行によるもの 文字図形の構成が障害されるために失書を生ずる。図形として複雑な漢字の書字障害のほうが,かな(仮名)の障害より重度である。写字障害もある。構成失行性失書と呼ばれる。両側頭頂葉の破壊で生ずる。(4)純粋失書 失語や失行を伴わず,失書だけが見られる状態である。左右いずれの手にもみられるものは,左前頭葉かあるいは左頭頂葉の破壊で生ずる。左手のみの失書は脳梁の破壊で生ずる。
失行 →失語症
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「失書」の意味・わかりやすい解説

失書
しっしょ
agraphia

手や腕の運動障害がなく,知能や精神の障害もないのに文字が書けなくなる症状をいう。大脳の後天的な局所的病変によって起きる。失語 (→失語症 ) や失行失認に付随して現れることが多い。自動書記,書取り,写字すべてが不能な場合から,自動書記は不能であるが書取りと写字はできる場合,自動書記は可能であるが写字は不能な場合など,種々のタイプがある。

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