奏事(読み)ソウジ

デジタル大辞泉 「奏事」の意味・読み・例文・類語

そう‐じ【奏事】

天皇に申し上げること。また、その事柄
《「奏事式」の略》律令制の文書形式の一。中程度の事柄を奏上するための書式
中世幕府の訴訟過程における最終的な救済手続き。

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精選版 日本国語大辞典 「奏事」の意味・読み・例文・類語

そう‐じ【奏事】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 天皇に奏上すること。また、奏上した事柄。
    1. [初出の実例]「蔵人のすけ経俊内侍たづぬと聞きて、奏事にやあらんとて」(出典:弁内侍日記(1278頃)寛元四年一一月二〇日)
    2. [その他の文献]〔史記‐張丞相〕
  3. 奏事式の略。令制で、天皇に奏上して勅裁を仰ぐ奏の文書形式の一つ。論奏式を作らない程度の、中程度の事柄を奏上するための書式。
    1. [初出の実例]「右論奏外。諸応事者。並為奏事皆拠案成乃奏。奉勑後。注奏官位姓。若少納言奏者。加名」(出典:令義解(718)公式)
  4. 鎌倉時代、幕府の訴訟手続の一つ。判決・訴訟手続の過誤に対する救済手続である覆勘越訴・庭中に取り上げられなかった案件に対する最後の救済方法。
    1. [初出の実例]「又諸人訴論事被引付沙汰。問注所召愁訴陳状。可申是非也。前々被申詞之間。為九人評定衆。所結番也。御評定日々奏事結番」(出典:吾妻鏡‐文永三年(1266)三月六日)

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普及版 字通 「奏事」の読み・字形・画数・意味

【奏事】そうじ

上奏

字通「奏」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の奏事の言及

【公式様文書】より

…(1)(a)は詔書,勅旨両式と飛駅下式で,詔書は臨時の大事,勅旨は尋常の小事,飛駅下式は地方有事の際に用いる。(b)は太政官から奏上するもので,事の大・中・小によって論奏・奏事・便奏の3式に分かれている。飛駅下式に対するのが飛駅上式で,地方の異変を急奏する。…

※「奏事」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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