日本大百科全書(ニッポニカ) 「奥能登丘陵」の意味・わかりやすい解説
奥能登丘陵
おくのときゅうりょう
石川県北部、能登半島先端部の丘陵。鳳珠郡(ほうすぐん)、珠洲市、輪島市(わじまし)にまたがる。能登半島の先端部を奥能登と称し、ここに位置することから命名された。ほぼ北東―南西方向に走り、延長約60キロメートルで、能登半島で最高の高洲山(こうのすさん/こうしゅうざん)(567メートル)や宝立山(ほうりゅうざん)(469メートル)、桑塚山(くわつかやま)(408メートル)などを含む丘陵。一般には標高250~300メートルの丘陵で、北西の日本海斜面は急傾斜で、地すべり地が多い。南東の富山湾側は緩傾斜で、5段の段丘が発達し、最下段は30~50メートルの海成段丘で広く発達する。上位の段丘には準平原的な平坦(へいたん)面もみられ、段丘の主体は新第三紀中新世の地層や火山性岩石である。火山が所々に噴出し、高峰や海岸の奇岩、景勝地を形成している。コナラ、アカマツ林が多いが、放牧地、クリ園などが開かれている。樹枝状の小河川に沿い水田が発達し、斜面はスギ、アテ(アスナロ)の植林地となっている。
[矢ヶ崎孝雄]