好・善・良(読み)いい

精選版 日本国語大辞典 「好・善・良」の意味・読み・例文・類語

い・い【好・善・良】

〘形口〙 (「よい」の変化した語) くだけた言い方で、終止形連体形でしか用いられない。よい。
① (正邪善悪の立場から) 正しい。正当である。「いいと思ったこと」「いい悪い」
性質、状態、機能、様子などが好ましい。まさっている。満足できる程度である。充分である。
洒落本・通仁枕言葉(1781)山もとの座舗「どの子がいいかしらねへ」
滑稽本浮世風呂(1809‐13)前「ヤ、是は能(イイ)湯だ」
③ めぐりあわせに恵まれている。幸いである。
※滑稽本・浮世風呂(1809‐13)前「坊はおとっさんにおんぶだから能(イイ)の」
④ あるべきさまである。適当である。のぞましい。
※洒落本・辰巳之園(1770)「お前の顔にゃア何かきつく出来やしたね。是にゃア和国橋の実路孝を付なさりゃアいい」
⑤ 同意できる。承知できるさまである。さしつかえない。かまわない。
※洒落本・契情実之巻後編(1804)一「ナンノ、なかずといい」
⑥ (よくないと思っていることを、わざと反対にいう言い方) とんでもない。
姉弟と新聞配達(1923)〈犬養健〉一「その弟ではこのお正月、本当にいい心配をいたしました」
⑦ (逆説的に) 基準をこえている。十分すぎるほどである。→いい年
※死者生者(1916)〈正宗白鳥〉三「あんなに邪慳にされて、お前さんは辛抱がいいわね」
⑧ (「なくてもさしつかえない」の意から) 必要ない。いらない。十分だ。→いい(好)にする
⑨ (動詞の連用形について) 簡単である、たやすいの意を表わす。
※洒落本・廓節要(1799)「そういふ内所ならば、又大きにさんたんもしいいといふもんだ」
[語誌]江戸時代前期に見られる「えい」の関東なまりとして生じた語か。明和、安永頃(一七六四‐八一)から広まり使われたらしく、侠(きお)い者や、それに近い人から用い始めたようである。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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