犬養健(読み)イヌカイタケル

デジタル大辞泉 「犬養健」の意味・読み・例文・類語

いぬかい‐たける〔いぬかひ‐〕【犬養健】

[1896~1960]政治家東京の生まれ。つよしの子。はじめ白樺派小説家として活躍第二次大戦後は第四次・五次吉田内閣の法相を務め、造船疑獄事件で指揮権発動

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「犬養健」の意味・わかりやすい解説

犬養健
いぬかいたける
(1896―1960)

政治家。犬養毅(つよし)の実子として東京に生まれる。学習院高等科卒業、東京帝国大学哲学科中退。学生時代に白樺(しらかば)派の影響を受ける。『一つの時代』『南京(ナンキン)六月祭』などの創作集を出す。1930年(昭和5)政友会から立候補し当選、以来2選。1931年父、毅の首相就任に伴い首相秘書官。日中戦争期は汪兆銘(おうちょうめい/ワンチャオミン)政権樹立に尽力。1941年ゾルゲ事件で検挙されたが無罪となる。敗戦後、進歩党結成に参加、同党総務会長、幣原喜重郎(しではらきじゅうろう)内閣の外務政務次官を務める。1947年(昭和22)公職追放、翌1948年解除され、同年12月昭電疑獄事件で芦田均(あしだひとし)逮捕の後を受け民主党総裁となる。1949年保守連携を推進するが民主党分裂をきたした。1951年自由党入党、第四次、第五次吉田茂内閣の法相を務め、1954年造船疑獄をめぐり指揮権を発動し、その責を負って辞任。著書に『揚子江(ようすこう)は今も流れている』がある。

[小田部雄次]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「犬養健」の意味・わかりやすい解説

犬養健
いぬかいたける

[生]1896.7.28. 東京
[没]1960.8.28. 東京
政治家。首相犬養毅の二男。学習院高等科から東京帝国大学文学部に入り,中退。白樺派(→白樺)の作家として世に出る。1930年,立憲政友会衆議院議員となり,父毅の首相就任に伴い首相秘書官となる。1941年ゾルゲ事件に連座したが,のち無罪。第2次世界大戦後,日本進歩党総務会長となったが公職追放を受けた。追放解除後の 1948年に民主党総裁となり,1950年吉田茂民主自由党(のちの自由党)との合同に踏み切ったが,民主党の分裂をきたした。1951年自由党入党が認められた。吉田首相の知遇を受け法務大臣となったが,1954年4月,造船疑獄に際し,佐藤栄作自由党幹事長逮捕を阻止するため指揮権発動を余儀なくされ,引責辞任した。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「犬養健」の解説

犬養健 いぬかい-たける

1896-1960 大正-昭和時代の小説家,政治家。
明治29年7月28日生まれ。犬養毅(つよし)の次男。白樺(しらかば)派の作家として活動ののち,昭和5年衆議院議員(当選11回)。日中戦争で和平工作をおこなう。戦後,民主党総裁などをへて,自由党にはいる。29年吉田内閣の法相として指揮権を発動,造船疑獄事件渦中の佐藤栄作幹事長の逮捕を阻止した。昭和35年8月28日死去。64歳。東京出身。東京帝大中退。著作に「一つの時代」「揚子江は今も流れている」など。

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