好加減(読み)いいかげん

精選版 日本国語大辞典 「好加減」の意味・読み・例文・類語

いい‐かげん【好加減】

[1] 〘連語〙 (「よい加減」の変化したもの) ちょうどよい程度。適度
※人情本・花筐(1841)二「野暮にして居て宜(イ)い加減(カゲン)好意にして居ちゃア、男がうるさくってなるめえ」
[2] 〘形動〙
① かなりの程度であるさま。いいくらかげん。
(イ) (「いいかげんにする」の形で) かなりの程度までいっているので、もうほどほどにしたいさま。このくらいでおわりにしたいさま。
洒落本傾城買四十八手(1790)やすひ手「しったかいいかげんにしやれや と小声でいふ」
(ロ) (語幹だけで副詞的に用いることが多い) かなりの程度。相当。
※土(1910)〈長塚節〉一「いい加減大きくなった(なら)の木は」
② 徹底しないさま。
(イ) 無責任で、なげやりなさま。また、深く考えないで、おおざっぱなさま。いいくらかげん。
安愚楽鍋(1871‐72)〈仮名垣魯文〉三「いいかげんなごまかしをいって脱して来たが」
(ロ) 程度が軽く、なまぬるいさま。
帰郷(1948)〈大仏次郎〉霧一夜「いい加減でいたはったら、未来のいつにならうが、えんえんと、群動息まずさ」
[補注]「いい加減」には、相反する二つ意味があるが、(一)の場合は「いい」と「加減」とが、それぞれ独立したアクセントで発音されるのが普通であるのに対して、(二)は「いい加減」全体平板型に発音される。

よい‐かげん【好加減】

[1] 〘連語〙 適当な程度。ちょうどよいころあい。いいかげん。
※虎寛本狂言・禰宜山伏(室町末‐近世初)「あついをまいる衆もあり、又ぬるいを好て参る衆も御座る、夫成らば能加減にして進じませう」
[2] 〘形動〙
物事がかなりの程度までいっているので、ほどほどにしてやめておきたいさま。いいかげん。
浄瑠璃お初天神記(1733)「好(ヨ)い加減(カゲン)にして戻されよ」
② (語幹だけで、副詞的に用いることが多い) かなりの程度。ずいぶん。相当。いいかげん。
※雪の宿り(1946)〈神西清〉「五山の仏法はよい加減厭きの来るほど眺めて来た」
③ 無責任でなげやりなさま。ほんの申しわけ程度に、うわべをとりつくろうさま。いいかげん。
咄本・私可多咄(1671)三「たけのねをいがらにてほらするといふたは、よいかけんな事なり」

ええ‐かげん【好加減】

〘形動〙 適度であるさま。ほどほどにするさま。無責任でなげやりなさま。いいかげん。
※雑俳・柳多留‐九(1774)「ゑゑかげん見やれと母はまどをたて」
滑稽本浮世床(1813‐23)初「能加減(ヱヱカゲン)にしさっしナ」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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