禰宜山伏(読み)ネギヤマブシ

精選版 日本国語大辞典 「禰宜山伏」の意味・読み・例文・類語

ねぎやまぶし【禰宜山伏】

  1. 狂言。各流。茶屋にいやがらせを言っている羽黒の山伏を伊勢御師(おし)が注意したところから二人の争いとなる。茶屋の主人が大黒天を持ち出し、祈り合って大黒天の影向(ようごう)なされた方を勝にしようといい、祈り比べの結果禰宜が勝ち山伏が逃げ出す。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「禰宜山伏」の意味・わかりやすい解説

禰宜山伏
ねぎやまぶし

狂言の曲名。山伏狂言。伊勢(いせ)の禰宜が街道の茶屋で休んでいるところに、羽黒山の山伏(シテ)が入ってき、茶がぬるいの熱いのと難癖をつけ、あげくは禰宜に自分の肩箱を担げと無理難題。茶屋が仲裁に入り、名作の大黒天(大黒の面を使用、子方のときは使用せず)を持ち出し、これを祈り招いたほうを勝ちにしようと提案する。2人が祈りだすと、大黒天は禰宜のほうへ向き浮かれ立ち、山伏がむりやり自分のほうに向かせようとすると槌(つち)を突き出し、ついには追い込む。神仏混淆(こんこう)の時代、禰宜と山伏はともに民衆のなかに分け入った宗教者であり、いわば商売敵(がたき)でもあった。いつも下手(したで)に出るがしたたかな禰宜、威勢がいいが空いばりの山伏――宗教者を見つめる狂言作者の目は、いつも鋭い。類曲に「犬山伏」がある。

[油谷光雄]

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