好酸球増加症

内科学 第10版 「好酸球増加症」の解説

好酸球増加症(好酸球増加症・好酸球増加症候群)

【⇨14-10-8)】も参照.
定義・概念
 好酸球増加症とは,末梢血好酸球数が450~500/μL以上存在する場合をいう.
分類
 好酸球が増加する原因疾患は,寄生虫感染,気管支喘息薬物に対するアレルギーなど多岐にわたるので,鑑別が重要である(表10-25-1).
 重症度に関しては,末梢血好酸球数の上昇具合により,450~1500/μLを軽症,1500~5000/μLを中等症,>5000/μLを重症に分けるが,臨床上問題となるのは好酸球による血管,心臓,肺などの組織傷害である.
原因・病因
 好酸球の分化増殖に関与するinterleukin-5(IL-5), 顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(granulocyte-macropharge colony-stimulating factor:GM-CSF)といったサイトカインや,遊走に関与するエオタキシン,regulated upon activation normal T-cell expressed and secreted (RANTES)などのケモカインの過剰産生が原因と考えられる.
経過・予後・治療
 好酸球増加をきたす原因疾患によって予後は異なる.組織への好酸球浸潤や組織傷害の程度も予後に大きく関与する.
 治療も原因疾患に応じた対応となる.全身性ステロイド投与は好酸球の分化増殖,遊走に関与するサイトカイン,ケモカインの発現抑制し好酸球数を減少させる.[一ノ瀬正和]
■文献
DeBrosse CW, Rothenberg ME: Eosinophilia: clinical manifestations and therapeutic options. In: Allergy, 4th edition (Holgate ST et al ed), pp361-368, Elsevier Saunders, 2012.

好酸球増加症(白血球系疾患)

 末梢血の好酸球数が500/μL以上に増加した状態を好酸球増加症という.表14-10-8に好酸球増加をきたすおもな疾患を示すが,好酸球増加症の原因の多くはアレルギー疾患や寄生虫疾患などの反応性(二次性)であり,純粋な血液疾患少数にすぎない.好酸球増加症の多くを占める反応性(二次性)の疾患はサイトカイン依存性(おもにIL-5)に好酸球が増加するが,好酸球は組織内で細胞質内の好酸球性顆粒に含まれる蛋白によって組織傷害を起こし,浸潤する各臓器に強い臓器障害をきたす.
 ここでは血液疾患に伴う好酸球増加症と特発性好酸球増加症候群について概説する.好酸球増加症の分類はWHO分類第4版において大きく変更されたがこれは新たに同定された染色体異常,遺伝子異常による分類を重用したためであり,それぞれの疾患の病態や臨床症状は一定でなく,この領域の疾患分類が今後も変更される可能性を残している.このため現時点ではここに含まれる疾患の診断は除外診断で成り立っているものが多い.[檀 和夫]
■文献
Swerdlow SH, et al eds: WHO Classification of Tumours of Haematopoietic and Lymphoid Tissues, 4th ed, pp31-73, IARC Press,Lyon, 2008.

出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報

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