家庭医学館 「子どもの急性気管支炎」の解説
こどものきゅうせいきかんしえん【子どもの急性気管支炎 Acute Bronchitis of the Child】
気管支炎(きかんしえん)とは、気管支の部分だけの炎症を意味します。気管支炎という病名はよく使われますが、実際には、子どもでは、気管支の炎症だけということは、ほとんどないと考えられています。たいていは、鼻炎(びえん)、咽頭炎(いんとうえん)、喉頭炎(こうとうえん)などをともなっているものです。
しかし、気管支炎の症状がおもに現われることが多いので、気管支炎と呼ばれます。また、ぜんそく様気管支炎(ようきかんしえん)のように、ぜんそくとともにおこる場合もあります。
急性気管支炎は、急性で一過性の炎症が気管支粘膜におこるものです。
[症状]
多くの場合、ウイルス感染によるかぜの症状で始まります。ときには、それに細菌の感染が加わります。
最初は、乾いたようなせきが出て、胸が痛くなったりします。ひどいせきになって、吐(は)いたり、息が速くなってゼイゼイいう場合があります。
数日後には、せきは黄色いたんをともなってきます。5~10日たつと、せきは徐々に少なくなります。熱は、出る場合と、出ない場合があります。
聴診をすると、最初は気管支炎の典型的な音は聞こえません。日がたつにつれてラ音(肺の副雑音)という音や、ヒューというぜんそくのような音が聞こえるようになります。
X線写真をとっても肺炎のような影はみられません。
[治療]
特別な治療法はなく、自然に治っていくものがほとんどです。空気を加湿すると少しは楽になるようです。
あまりにも、せきがひどければ、せき止めや気管支拡張薬を飲むと、少しは楽になる場合もあります。抗ヒスタミン薬は、たんを硬くし排出しにくくするので、飲むべきではありません。
抗生物質は、血液検査などで細菌感染の徴候が出ていれば使います。
気管支炎と似た症状をくり返すようなら、ぜんそく、気管支内の異物、結核、免疫力が弱いこと、などが原因である可能性も考えなければなりません。