病気の診断、治療効果判定の目的で、血液の諸成分を量的、質的に検査することをいう。検査は医師のほか、臨床検査技師、衛生検査技師が行い、コンピュータを用いた自動検査機器が多く使われ、検査室の規模も大きくなって検査のスピードが迅速になった。また、行われる検査も臨床各方面にわたり多くの種類がある。以下、おもなものについて述べる。
(1)末梢(まっしょう)血液一般検査 血液中の有形成分(血球)について行われる検査であり、赤血球、ヘモグロビン、ヘマトクリット(赤血球容積率)、白血球、血小板を算定する。血球の形態的検査には、塗抹標本をつくってギムザ染色を行い、白血球、赤血球、血小板、その他各種の観察を行う。
(2)血液生化学的検査 血漿(けっしょう)あるいは血清の中に含まれている化学的成分を測定するもので、タンパク質、炭水化物(含水炭素)、脂肪、ビタミン類、酵素、無機物について詳しい検査が行われている。肝機能、腎(じん)機能、血糖の検査など、多方面にわたる検査がある。
(3)免疫血清学的検査 抗原抗体反応を利用して検査が行われ、血清中に含まれている免疫グロブリン(抗体)、補体成分、多くの病気のときにつくられる特有な抗体、リンパ球の機能などが測定される。血清梅毒反応もその一つである。
[伊藤健次郎]
『松崎広子著『血液検査は語る』第2版(1994・研成社)』▽『日本検査血液学会編『スタンダード検査血液学』(2003・医歯薬出版)』
血液は血球成分と血漿に分かれるが,広義には,この両者に存在する成分について含量や性質,機能を検査することをいうが,狭義には,血球成分とこれに関連した血漿中の成分の異常の有無を調べる血液学的検査をいう。血球成分には赤血球,白血球(顆粒球,単球,リンパ球)および血小板があり,狭義の血液検査とは,これらの血中含量や役割についての検査をさす。このほか,骨髄の造血能をみる検査(血球成分の骨髄中での成熟,分化の程度,貯蔵状態の観察による造血異常の性質や程度を調べる検査),血液型や血球成分に対する抗体の検査,免疫グロブリンの検査などもあり,最近では,末梢血液や骨髄細胞の培養による染色体検査や分化,成熟異常の検査のほか,献血・輸血に際してエイズウイルス(HIV)の検査も行われるようになった。
広義の血液検査には,血漿中に含まれる諸成分(タンパク質や尿酸,ナトリウム,カリウムなどの元素やGOT,GPTなどの血清酵素など)についての血液生化学的検査などが含まれる。
血液検査は,あらゆる病気との関係が深いので,診断や経過観察,予後の推定によく用いられている。
→臨床検査
執筆者:宮地 隆興
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出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…人が病気にかかると,これらの物質の組成が変わるとともに,健康人の血液には含まれないような異常物質が出現する。血液検査によって多くの病気の状態がわかり診断が下せるので,今日では最も重要な検査法の一つである。 放射線医学的検査胸部のX線写真,消化管の造影剤を用いたX線検査のほかに,心・血管系,胆囊・胆管系,気管支系,リンパ系について特別な検査が行われる。…
※「血液検査」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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