子どもの鉄欠乏性貧血(読み)こどものてつけつぼうせいひんけつ(その他表記)Iron Deficiency Anemia in Childhood

家庭医学館 「子どもの鉄欠乏性貧血」の解説

こどものてつけつぼうせいひんけつ【子どもの鉄欠乏性貧血 Iron Deficiency Anemia in Childhood】

[どんな病気か]
 赤血球(せっけっきゅう)の中にあるヘモグロビンの合成には鉄分が必要となります。この鉄分が不足するためにおこる子どもの貧血です。
 未熟児(みじゅくじ)が急激に成長するときに鉄分が不足する未熟児後期貧血(みじゅくじこうきひんけつ)、出生時に貯蔵されていた鉄分が消費され、母乳や離乳食からの補充が不十分な離乳期貧血(りにゅうきひんけつ)、市販の牛乳は鉄分が少なく、吸収もよくないため、牛乳を多飲して、母乳や普通食の摂取量が少ないとおこる牛乳貧血(ぎゅうにゅうひんけつ)、思春期の急激な成長に対して鉄分の摂取が不足している思春期貧血(ししゅんきひんけつ)などがあります。
[症状]
 軽度の貧血では、症状が現われないか、不調を訴える程度ですが、中等度になると顔色が悪く、疲れやすく、息切れ動悸(どうき)をともないます。
 重度の貧血になると、心雑音(しんざつおん)、心肥大がおこることがあります。
 また、注意力の欠如がみられたり、興奮しやすくなったり、幼児では、土や石を食べる行動異常がみられることもあります。
[検査と診断]
 血液検査を行ない、ヘモグロビン量、平均赤血球容積、血清鉄(けっせいてつ)、血清フェリチン値、トランスフェリン飽和度などから診断されます。また診断には、白血病(はっけつびょう)などの悪性の骨髄疾患(こつずいしっかん)、再生不良性貧血(さいせいふりょうせいひんけつ)、溶血性貧血(ようけつせいひんけつ)などとの鑑別が必要です。
[治療]
 鉄剤を服用することで、貧血は改善されます。
 輸血は、原則的に行ないませんが、重症の場合は、赤血球だけの成分輸血が行なわれます。
[予防]
 ふだんの食事で、鉄分が多く含まれる食品を積極的に取り入れるようにしましょう。
 とくに授乳中の女性、成長期の子どもは注意します。
 鉄分の多く含まれている食品は、ひじき、のり、レバー、シジミアサリウナギ煮干しホウレンソウコマツナ、きな粉などです。

出典 小学館家庭医学館について 情報

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