コマツナ(読み)こまつな

日本大百科全書(ニッポニカ) 「コマツナ」の意味・わかりやすい解説

コマツナ
こまつな / 小松菜
[学] Brassica rapa L. var. perviridis L.H.Bailey
Brassica campestris L.

アブラナ科(APG分類:アブラナ科)の二年草。植物学上はカブハクサイと同一の種で、カブから改良されてできたものといわれる。栽培の起源はつまびらかではないが、江戸時代初期には各地で栽培されていた。小松川(現、東京都江戸川区)も産地の一つであったが、5代将軍徳川綱吉(つなよし)がこれを好み、小松川にちなんで小松菜の名をつけたといわれる。明治になっていっそう盛んに栽培されるようになった。食用部となる根出葉はへら形で切れ込みがなく、葉肉は薄く柔らかい。春にとう立ちして、美しい黄色の十字花をつける。花や果実種子はカブのそれに似ている。根は多少肥大するが、食用としない。

 耐寒性が強く、積雪の下でも濃い緑を保ち枯れないので、各地で栽培されている。一般に秋(関東では9~11月、東北では8、9月)に播種(はしゅ)し、正月から利用する。3、4月の春播(ま)きのものをつまみ菜として利用するが、若々しい緑色と、ウグイスの鳴くころに出回るところから、ウグイスナともよぶ。

[星川清親 2020年11月13日]

食用

可食部100グラム中に、ビタミンAをカロチンで3300マイクログラム、Cを75ミリグラム含む。またカルシウム、鉄なども比較的多い。くせがなく、親しみやすい味で、さまざまな料理に用いられる。塩をすこし加えた湯でさっとゆで、水に放して冷やし水けをきる。おひたし、和(あ)え物、炒(いた)め物、そのほか利用範囲が広い。とくに江戸風雑煮に欠かせない。これは、年頭に松の実と若菜を食べると、健康と長寿を得るという中国の古い風習に倣ったもので、その代用としてコマツナが用いられるようになったといわれている。

[星川清親 2020年11月13日]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「コマツナ」の意味・わかりやすい解説

コマツナ(小松菜)
コマツナ
Brassica campestris var. komatsuna

アブラナ科の一年生または越年生草本。分類学上はアブラナの変種とされるが,もっぱら食用に栽培される。東京の江戸川区小松川が原産地といわれ,この名のもととなった。耐寒性が強く,葉質が軟らかで繊維が少いなどの特徴があるので,10月頃播種し,12月より正月にかけて菜類の欠乏期に利用される。

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