食の医学館 「コマツナ」の解説
コマツナ
《栄養と働き》
アブラナ科の1、2年草で「冬菜」「雪菜」「ウグイス菜」などとも呼ばれます。東京の小松川村(江戸川区)が原産地でたくさん収穫されていたため、コマツナという名前が一般的になりました。関西では「畑菜」とも呼んでいます。
〈カルシウムはホウレンソウ以上、ビタミンA、Cも豊富〉
○栄養成分としての働き
コマツナはホウレンソウとならぶ緑黄色野菜の代表で、栄養的にはカルシウムが非常に多いのが特徴です。ホウレンソウの含有量が100g中49mgに対し、コマツナは170mgも含んでいます。カルシウムは骨や歯を丈夫にし、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)予防に役立ちます。神経の興奮性を適切に保つ働きもあるので、ストレスによるイライラ感を緩和してくれます。
コマツナは美容にも強い味方となってくれる野菜です。カロテンが豊富で3100μgを含み、ビタミンCは39mg含みます。
カロテンは肌荒れを予防し、健やかな肌を保ってくれますし、Cはシミ・シワを防ぐ働きをします。さらにカロテンは、がんの予防にも効果があるといわれています。
そのほか、鉄分、カリウムも多く含んでいます。鉄は赤血球のヘモグロビンの材料となるので、貧血に悩む人はコマツナを常食するといいでしょう。
一方、カリウムはナトリウムの排泄(はいせつ)をうながして、血圧を下げる作用があるので、高血圧症予防に役立ちます。
鉄に加え、亜鉛(あえん)、リンなどのミネラル分も多いので、成長期の子どもから高齢者まで、常食したい食材の1つです。
《調理のポイント》
アクが少ないので、ゆでずに汁ものの料理にそのまま使えます。ビタミンCは水溶性なので、洗うときは手早くし、水切りも完全に。Cの効果を期待するなら、汁ごと食べるくふうをしましょう。
カロテンを効率的にとれるよう、油を使った料理もおすすめ。油で炒(いた)めたり、油揚げと組み合わせて煮びたしにしたりと、油脂を含むものといっしょに調理すると効果的です。また、カルシウムの利用率を高めるためには、シイタケやちりめんじゃこ、レバーなどビタミンDを含む食品といっしょに食べるといいでしょう。
○注意すべきこと
栄養価の高い野菜ですが、亜硝酸塩(あしょうさんえん)を含んでいるので、アミンを含む食品との組み合わせは要注意。発がん物質を生成する恐れがあります。アミンを含む食品とは、ハム、ソーセージ、オイルサーデン、たらこなどです。
ビタミンCの多いものと組み合わせると、発がん性を消去できるので、食後にミカンなどをとりましょう。