子を貸し屋(読み)こをかしや

日本大百科全書(ニッポニカ)「子を貸し屋」の解説

子を貸し屋
こをかしや

宇野浩二(こうじ)の中編小説。1923年(大正12)3~4月『太陽』に発表、翌年7月文興院刊の同名の小説集に収録。東京・浅草で細々と団子屋を営む佐蔵は、昔仲間だった太十の遺児太一を引き取って育てている。たまたま銘酒屋の女おせきに太一を貸したところ、おせきは警察の目をカムフラージュするために太一を利用したのだとわかるが、ずるずるとそのことが繰り返され、いつのまにか子供を貸し出すのが商売になってしまうという奇妙な物語。宇野のもつ物語構想力と描写力が渾然(こんぜん)と和した名作で、市井に漂う名もなき庶民たちの哀歓が、ほろ苦いユーモアとペーソスで活写されている。

森本 穫]

『『日本文学全集30 宇野浩二集』(1973・集英社)』

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精選版 日本国語大辞典「子を貸し屋」の解説

こをかしや【子を貸し屋】

小説。宇野浩二作。大正一二年(一九二三)発表。生きるための手段として不本意ながら子どもを貸す佐蔵を描く。人間の生きる悲しみと滑稽を描いたもの。

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デジタル大辞泉「子を貸し屋」の解説

こをかしや【子を貸し屋】

宇野浩二の小説。大正12年(1923)発表。生活のために子供を貸すという商売を通じて、市井の哀歓を描く。

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