宇野浩二(こうじ)の中編小説。1923年(大正12)3~4月『太陽』に発表、翌年7月文興院刊の同名の小説集に収録。東京・浅草で細々と団子屋を営む佐蔵は、昔仲間だった太十の遺児太一を引き取って育てている。たまたま銘酒屋の女おせきに太一を貸したところ、おせきは警察の目をカムフラージュするために太一を利用したのだとわかるが、ずるずるとそのことが繰り返され、いつのまにか子供を貸し出すのが商売になってしまうという奇妙な物語。宇野のもつ物語構想力と描写力が渾然(こんぜん)と和した名作で、市井に漂う名もなき庶民たちの哀歓が、ほろ苦いユーモアとペーソスで活写されている。
[森本 穫]
『『日本文学全集30 宇野浩二集』(1973・集英社)』
菊の節供,九月節供,重九 (ちょうく) ともいう。五節供の一つ。旧暦9月9日の節供で,奈良時代より,宮中では天皇が紫宸殿に出御し,群臣に宴を賜わり詩歌文章をつくらせる菊花の宴が行われ,年中行事となった...