銘酒屋(読み)メイシュヤ

デジタル大辞泉 「銘酒屋」の意味・読み・例文・類語

めいしゅ‐や【銘酒屋】

銘酒を売っているという看板をあげて、ひそかに私娼を抱えて営業した店。明治時代から大正時代にかけてみられた。

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精選版 日本国語大辞典 「銘酒屋」の意味・読み・例文・類語

めいしゅ‐や【銘酒屋】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 銘酒を置いている家。名の通った銘柄の酒を、売ったり飲ませたりする店。銘酒店
  3. 銘酒を売っているという看板をあげて、ひそかに売春をさせた下等な遊女屋明治時代から大正時代にかけて見られた。銘酒店。
    1. [初出の実例]「ブリュッセルの或る咖啡店(カフェー)の女━咖啡店の女だって日本の銘酒屋の婦(ねえ)さんとは違ふ」(出典社会百面相(1902)〈内田魯庵〉ハイカラ紳士)

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改訂新版 世界大百科事典 「銘酒屋」の意味・わかりやすい解説

銘酒屋 (めいしゅや)

明治~昭和時代の私娼(ししよう)屋の一形態。飲酒店を装いながら,数名の私娼を抱えて店裏の小部屋で売春させた。1885年ころ横浜で外国人相手に開いたコップ酒屋が,銘酒店として古いものであろう。その後,東京をはじめ各地に広がり,1916年には東京市内に約1200軒を数えたが,その半数浅草公園の俗称〈十二階下〉一帯にあって有名であった。これに対し明治末期から警察取締りを強化し,銘酒屋側も店種を変えて抵抗したが,ついに亀戸玉ノ井へ移転させられた。玉ノ井では飲酒店の様式は消滅し,顔だけを見せる特有の小窓をつけた入口となった。1店2酌婦(しやくふ)を原則とし,各自が1部屋をもった。これらの銘酒屋は,第2次大戦後に,いわゆる赤線へ移行したものが多い。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「銘酒屋」の意味・わかりやすい解説

銘酒屋
めいしゅや

一般には銘柄品の清酒を売る店をさすが、明治中期~昭和前期に東京を中心に営業した飲食店形式の私娼(ししょう)屋も銘酒屋といった。表向き銘酒を飲ませる体裁をとったからであるが、のちには飲食の設備のない店が多かった。酌婦(しゃくふ)を置く料理屋もこれに準じる。一店に娼婦1、2人で、店主が娼婦を兼ねる例もあった。東京では浅草の十二階下、そこから1918年(大正7)ごろ移転した玉の井・亀戸(かめいど)が有名であった。

[原島陽一]

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世界大百科事典(旧版)内の銘酒屋の言及

【赤線・青線】より

…太平洋戦争中までは,明治以来,許可された売春婦すなわち公娼を置いて売春をさせる店を一区域内に集めて遊郭といった。黙認されている私娼を集めて売春させる店は明治中期から銘酒屋と称して集落を作らされた。遊郭の建物は大きかったが,銘酒屋は3部屋ぐらいの小住宅の形式であった。…

※「銘酒屋」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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