子供の未来応援国民運動(読み)こどものみらいおうえんこくみんうんどう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「子供の未来応援国民運動」の意味・わかりやすい解説

子供の未来応援国民運動
こどものみらいおうえんこくみんうんどう

子供の貧困解消に取り組む官民一体の取り組み。2014年(平成26)1月に施行された子どもの貧困対策推進法や2014年8月に閣議決定された「子供の貧困対策に関する大綱」に基づき、政府主導で2015年4月から始まった。内閣総理大臣の安倍晋三(あべしんぞう)をはじめ、地方公共団体、経済界・労働組合、マスコミ、支援団体等の代表ら27人が発起人となり、親から子への貧困の連鎖を断ち切るという「子供の未来応援国民運動 趣意書」を採択した。同運動の事務局は日本財団と内閣府文部科学省、厚生労働省が共同で務める。2015年10月には、広く国民や企業から寄付を募る「子供の未来応援基金」を創設し、貧困状態の子供の支援にあたるNPOなどを支援するほか、地域に子供の居場所となる拠点を整備する。また同10月に、日本財団と協力し、子供を抱える貧困家庭向けに、支援情報を一元化したポータルサイトを立ち上げた。このほか子供の貧困対策強化月間を創設するほか、優れた支援事業に取り組む民間組織などに対して総理大臣表彰を行う。

 日本の子供の相対的貧困率は2012年時点で16.3%と過去最悪の水準にあり、経済協力開発機構OECD)加盟国34か国中で9番目に悪い。こうした状況を改善するには、単に公的部門だけではなく、幅広い民間の協力が必要との判断から、子供の未来応援国民運動が旗揚げされた。子どもの貧困対策推進法や子供の貧困対策に関する大綱には、子供の貧困を解消する数値目標が盛り込まれなかったため、野党市民団体などからは、実効性に欠けるとの批判が出ており、こうした批判をかわす意味から、官民一体の運動を立ち上げた側面もあるとの指摘が出ている。

[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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