安部栄四郎(読み)アベ エイシロウ

20世紀日本人名事典 「安部栄四郎」の解説

安部 栄四郎
アベ エイシロウ

昭和期の手漉和紙製作者



生年
明治35(1902)年1月24日

没年
昭和59(1984)年12月18日

出生地
島根県八束郡八雲村

主な受賞名〔年〕
日本民芸館賞〔昭和42年〕,勲四等瑞宝章〔昭和47年〕

経歴
幼いころから家業紙漉きを手伝い、出雲国製紙伝習所で修業。大正14年独立。昭和6年からすたれていた雁皮紙(がんぴし)作りを始め、河井寛次郎や棟方志功らに自作の紙を提供しながら技術を磨いた。同時に柳宗悦、バーナード・リーチらとともに民芸運動を推進した。また全国各地の和紙を調査研究すると共に、35〜42年宮内庁の依頼により正倉院宝物中の紙を調査研究した。43年人間国宝に認定。晩年には和紙の真価を海外に普及するため、フランス、米国、中国で個展を開いた。58年自宅近くに安部栄四郎記念館を建立著書に「出雲民芸紙譜」「和紙三昧」「紙漉き七十年」など。

出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「安部栄四郎」の解説

安部栄四郎 あべ-えいしろう

1902-1984 昭和時代の和紙製作家。
明治35年1月14日生まれ。出雲国(いずものくに)製紙伝習所で修業し,家業の和紙づくりにはげむ。昭和6年柳宗悦(むねよし)と出あい民芸運動に参加,雁皮紙(がんぴし)の特色をいかした出雲民芸紙を創作。43年人間国宝。昭和59年12月18日死去。82歳。島根県出身。著作に「出雲民芸紙譜」「和紙三昧(ざんまい)」など。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

367日誕生日大事典 「安部栄四郎」の解説

安部 栄四郎 (あべ えいしろう)

生年月日:1902年1月14日
昭和時代の手漉和紙製作者。人間国宝
1984年没

出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の安部栄四郎の言及

【雁皮紙】より

…現在,雁皮紙の用途は,金箔等を打ち延ばす箔打紙,襖の下ばり用となった間似合紙,金糸や銀糸の地紙(台紙),仮名料紙,民芸紙の一部等である。とくに安部栄四郎(1902‐84)の雁皮紙の厚紙は,民芸運動の柳宗悦がほめ,それが民芸紙誕生の機縁となったものである。安部は雁皮を黒皮のまま使って,力強い光沢を発揮しており,1968年に重要無形文化財〈雁皮紙〉の保持者に認定された。…

【民芸紙】より

…このように手漉和紙本来の特色が失われる傾向に対し,知識人の間で批判はあったが,とくに昭和初期から民芸運動を活発に指導していた柳宗悦は強く反対した。柳は1931年に島根県松江市で開催した新作民芸品の展示会のおりに,当時,29歳の安部栄四郎(1902‐84)の漉いた厚手の雁皮紙を賞賛したのが機縁となって,安部の東京における紙の個展や雑誌《工芸》の和紙特集(1933)などによって,民芸紙の内容が整ってきた。それは,コウゾ,ガンピ,ミツマタの未晒紙(みざらしがみ),植物染紙,粗い繊維の筋などを入れた素朴な装飾の紙などで,装丁,襖紙(ふすまがみ),色紙,短冊,封筒,案内状などの用途を配慮したものであった。…

※「安部栄四郎」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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