定量記譜法(読み)ていりょうきふほう(英語表記)mensural notation

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「定量記譜法」の意味・わかりやすい解説

定量記譜法
ていりょうきふほう
mensural notation

音楽用語。 1250年頃ケルンのフランコによってその体系が確立され,1600年頃まで用いられた記譜法音高だけをさし示すグレゴリオ聖歌のネウマ記譜法や,一定のリズム型に従って解釈されるべきモード記譜法と異なって,個々の音符長短を厳格に規定したものである。最初は黒い音符が多くみられる「黒符定量記譜法」であったが,1450年頃,中を白くくりぬいた「白符定量記譜法」へと移行した。

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世界大百科事典(旧版)内の定量記譜法の言及

【音楽】より

…第3の特徴は,音楽のさまざまな側面で行われた合理化の追求である。音楽の理論化は西洋に限らず他の高度文化にも認められるが,西洋音楽では理論と実践が常に補完的関係にあって,教会旋法や調性といった音組織,定量記譜法や拍節リズムといった時間組織,対位法や和声法といった作曲法において,理論的にも実践的にも精緻かつ整合的な体系を作りあげた。音楽という,ある意味では最も非合理的な芸術が,むしろその非合理的な性格ゆえに,他の諸芸術には見られないほどの合理化を推し進めたのである。…

【楽譜】より

…この記譜法は,1音1音の音価を直接示すのではなく,モードの種類を示すことによって,個々の音の音価を間接的に表示する方法である。リガトゥラの形の組合せをみるだけでリズムを判読できるので,十分実用的であるが,モードが途中で変化したり同一音の反復などがあると,原則通りにはいかず,複雑なリズムの表記に対する要求が強くなるに従い,しだいに定量記譜法に取って代わられることになった。
[定量記譜法]
 (1)初期定量記譜法 13世紀の中ごろになると,個々の音の持続の長さを,一つ一つの音符の形によって表示しようとする定量記譜法が試みられるようになる。…

※「定量記譜法」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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