宝永富士山噴火(読み)ほうえいふじさんふんか

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「宝永富士山噴火」の意味・わかりやすい解説

宝永富士山噴火
ほうえいふじさんふんか

宝永4(1707)年11月23日に発生した富士山噴火。富士山には歴史上 10回の明確な噴火の記録が残っているが,そのなかで最新かつ最大の噴火。噴火は 11月23日10時頃に始まり,12月9日まで続いた。富士山はプリニー式噴火といわれる爆発的噴火を起こし,大量の火山灰噴出。噴出した火山灰の総量は 1.7km3と見積もられている。火山灰や噴石などは強い季節風によって東に流され,現在の神奈川県から房総半島にかけて降灰した。その厚さは火口から 10km離れた静岡県小山で 3m,50km離れた神奈川県伊勢原で 30cm,江戸でも 2~4cmであった。新井白石は『折たく柴の記』で江戸での降灰の様子を書き残している。噴火口は富士山東南山腹に宝永火口(→宝永山)として残る。この噴火による直接の死者の記録は残されていないが,静岡県須走など富士山東麓の村落では田畑が厚さ 1~4mの火山噴出物に覆われ,生活基盤が破壊された。さらに神奈川県の河川では降雨により降り積もった火山灰が流入し,土砂災害が頻発した。特に酒匂川は噴火後 100年近くにわたって洪水がしばしば発生し,治水事業に力が注がれた。

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