宣政院(読み)せんせいいん(英語表記)Xuān zhèng yuàn

改訂新版 世界大百科事典 「宣政院」の意味・わかりやすい解説

宣政院 (せんせいいん)
Xuān zhèng yuàn

中国,元代の仏教(とくにラマ教僧徒チベット行政をつかさどる中央官庁世祖の初期にサンガ(桑哥)を長官として設けられた総制院前身とし,1288年(至元25)宣政院と改称され,院使,同知,副使参議など各2員をおいた。ラマ教の帝師や国師はこの機構の外からこれを統領する。南中国に出先官庁として行宣政院を,またチベット有事の際に分院を設置したこともある。ラマ教に対して優遇政策をとった元朝にとってチベットは政治的に重要な位置を占めた。このことから宣政院は,元朝の支配機構の中で特別な役割を担った。しかし,その特権を利して横暴なふるまいをするものもときにあらわれた。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「宣政院」の意味・わかりやすい解説

宣政院
せんせいいん
Xuan-zheng-yuan; Hsüan-chêng-yüan

中国,元の仏教,特にラマ教 (→チベット仏教 ) およびチベットの行政を管掌した中央特設官庁。世祖フビライ・ハンは初めて総制院を建て,国師 (パクパ以来サキャ派法王がこの位を占めた) を長官とし,至元 25 (1288) 年宣政院と改称し機構を拡大,国師の下に通常2名の宣政院事が長官となった。ラマ教は元の帝室から特別な尊崇保護を受けたので宣政院の機構はますます増大した。隷属する総統所は中国仏教を監督した。

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世界大百科事典(旧版)内の宣政院の言及

【元】より

…中央に行政,軍政,監察を総括する中書省(正一品),枢密院(従一品),御史台(従一品)を設けて政府の中枢とし(以外に九寺五監の制度を変形した大宗正府,太常礼儀院,太僕寺,太府監,将作監,宣徽院,中政院など多数の内務府系統の官府があるが,すべて宮廷関係の庶務を執行するものであって統治には直接に関わらない),その直属下部機関を地方に分置して全国を覆う統治網とする。ただこの間モンゴル,ウイグル,チベット人を専管する大宗正府,都護府,宣政院が上記3衙門にほぼ匹敵する従一品・従二品の高級官府として中央に備わるのは,大型征服王朝としての元朝にいかにもふさわしい。だが,これと並んで今一つ元朝官制の重要な特徴は,中央政府が特定地区を限って直轄地とする(直轄地以外はすべて地方官制に属する)点である。…

※「宣政院」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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