室津郷(読み)むろつごう

日本歴史地名大系 「室津郷」の解説

室津郷
むろつごう

和名抄」高山寺本・東急本とも「室津」と記し、高山寺本は「无呂豆」、東急本は「牟呂都」と訓ずる。「土佐日記」承平五年(九三五)正月一一日・一二日条に「むろつ」、「今昔物語集(巻一七)に「土佐ノ国室戸津ト云フ所」とみえる。また「続日本後紀」承和二年(八三五)三月二五日条の空海に関する記事に「観念土左国室戸之崎」とあり、「三教指帰」には「室戸崎」、「梁塵秘抄」には「室生門」とある。延久二年(一〇七〇)七月八日付の金剛頂寺解案(東寺百合文書)にも「室生戸」がみえる。

土佐幽考」は「在羽根村之東或称室戸」とし、「日本地理志料」は「亘室津・領家・三津・浮津・西寺・吉良川・白石・稲石・倉戸・椎名・尾埼・佐貴浜・根丸ノ諸邑、為其郷域」とするが、これは現室戸市のうち西北の一部を除く全域にあたる。


室津郷
むろつごう

「和名抄」高山寺本に「室津」と記し、「无呂豆」と訓じるが、刊本では「無呂都」と訓じる。ともに「むろつ」と読む。室津は室のように湾入し、舟をつなぐのに便利な津の意といわれるが、同名の郷は土佐国安芸あき郡にもみられる。

豊浦とようら町西南部の室津はその遺名と考えられる。ひびき灘に面した一帯で、郷内の黒井くろいには式内社杜屋もりや神社がある。豊浦町の室津・黒井川棚かわたなから現下関市吉母よしも吉見よしみ蓋井ふたおい島にわたる地域がこれに該当する。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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