宮崎夢柳(読み)みやざきむりゅう

百科事典マイペディア 「宮崎夢柳」の意味・わかりやすい解説

宮崎夢柳【みやざきむりゅう】

新聞記者小説家,翻訳家。本名富安(とみやす),別号芙蓉,戯号夢柳狂士。土佐生れ。藩校致道館に学び,坂崎紫瀾らと交わる。自由党系《高知新聞》の記者となり,数編戯作小説を連載するが,その後1882年《自由新聞》に入社デュマ翻案《自由之凱歌(かちどき)》,ベラ・ザスーリチ伝を潤色した《寃枉乃鞭笞(むじつのしもと)》などの政治小説を発表する。虚無党小説《鬼啾啾(きしゅうしゅう)》を発表するが,出版条例にふれて軽禁錮の刑を受けた。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「宮崎夢柳」の解説

宮崎夢柳 みやざき-むりゅう

1855-1889 明治時代の小説家。
安政2年生まれ。「高知新聞」記者をへて明治15年上京。「自由新聞」「自由灯」などに翻案政治小説を連載した。18年「虚無党実伝記鬼啾啾(きしゅうしゅう)」で文名をあげたが,出版条例違反のかどで軽禁固となった。明治22年7月23日死去。35歳。土佐(高知県)出身。本名は富要(とみやす)。別号に芙蓉。

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世界大百科事典(旧版)内の宮崎夢柳の言及

【政治小説】より

…これらの新聞は政治小説の啓蒙的役割を重視したが,その記者にも《自由新聞》の桜田百衛(ももえ)(1859‐83),《絵入自由新聞》の小室案外堂(あんがいどう),《報知新聞》の矢野竜渓,尾崎咢堂,《改進新聞》の須藤南翠(なんすい)ら政治小説家として活躍した人が少なくない。大デュマの《一医師の追憶》を翻案した《仏国革命起源 西洋血潮小暴風(にしのうみちしおのさあらし)》(1882)で,原作にない熱烈な民権論を鼓吹したことで東洋のユゴーと呼ばれた桜田は83年に夭折するが,その志を継いで革命文学としての政治小説を精力的に執筆したのは宮崎夢柳(1855‐89)である。夢柳の代表作は,ロシアのテロリストを描いた《虚無党実伝記 鬼啾々(きしゆうしゆう)》(1884‐85)で,このころの群馬事件から秩父事件にいたる反政府闘争を背景に大きな反響を呼んだ。…

※「宮崎夢柳」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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