家畜登録制度(読み)かちくとうろくせいど

日本大百科全書(ニッポニカ) 「家畜登録制度」の意味・わかりやすい解説

家畜登録制度
かちくとうろくせいど

家畜改良するには、優れた体型と生産能力をもつ雄と雌を選んで、その好ましい形質や能力が確率よく子畜に伝わるような交配を行い、さらに生まれた子畜のうち、なるべくよいものを残してゆく方法を繰り返すことが必要である。それには、まずその家畜個々の体型や能力と、先祖の遺伝形質をできるだけ正確に知ることがたいせつである。そのために、家畜を改良しようとする者同士が団体をつくり、そこで前記血統や能力などの正確な記録をとり、これらを公表、保存して互いに利用しあってゆくのが家畜の登録制度である。この制度は1791年イギリスの競走馬サラブレッド種で初めて設けられたが、現在では多くの国でほとんどの家畜について実施されており、わが国でも乳牛肉牛ウマブタヤギメンヨウなどで行われている。わが国では、家畜登録の事業を行おうとする者は、家畜改良増殖法(昭和25年法律209号)に基づき、登録する家畜の種類、登録の種類および方法、審査の基準などの登録規程を定めて農林水産大臣の承認を受けなければならない。

 登録制度は、採用される方式によって開放式と閉鎖式に大別される。開放式は、一定の基準で広く改良の基礎となる個体を拾い上げ、世代を重ねるごとに選抜を厳しくして数代後に純粋種として扱う方式で、改良途中の品種で採択される。閉鎖式は、すでに登録されている個体どうしの交配によって生まれたものだけを登録する方式で、品種として確立した家畜で行われている。また、登録制度には、家畜の血統だけを登録して、能力などによる選抜は飼育者に任せる血統登録と、体型や能力についても一定の基準を設けて検査し合格したものだけを登録する選択登録とがある。なお、体型や能力のとくに優秀なものや、よい子畜を産んだことが証明された個体を高等登録とするなど、選抜強度を高めた制度なども設けられている。

[西田孝雄]

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