改訂新版 世界大百科事典 「サラブレッド種」の意味・わかりやすい解説
サラブレッド[種]
Thoroughbred
イギリス原産の競走用のウマの1品種。17世紀から18世紀にかけてイギリスに輸入されたアラブ種やバルブ種の東洋馬を在来種と交配し,その交雑種から競馬という能力検定を経て作出された駆歩(かけあし)gallop能力の優れたウマで,1791年以来血統登録が続けられている軽種・純血種の代表的品種である。現存する本種の父系をたどるとダーレー・アラビアンDarley Arabian,バイアリー・タークByerley Turk,ゴドルフィン・アラビアンGodolphin Arabianの3頭に到達する。体格はアラブ種より大型で体高160cm前後,体重は平均480kg。体型は貴相があり気品に富んでいる。一般に皮膚は薄く血管が浮き出ている。頭は軽く,首は長く薄いが筋肉はよく発達し,肩は長く傾斜する。鬐甲(きこう)は大きく胸は深く,肋はよく張っていて背腰は強く広く,尻は長く臀部(でんぶ)の筋肉の発達は良好である。四肢の関節もよく発達している。毛色は鹿毛と黒鹿毛が多く全体の2/3弱を占め,栗毛が1/3弱,残りは青毛・葦毛(あしげ)・白毛で,月毛・河原毛は見られない。競走能力は1マイル(1600m)前後の距離で優れており,1982年現在の世界記録は1マイル1分32秒1である。かつては世界各国で乗用馬の改良・生産にも重用されたが,現在では大部分が競走馬で,一部が馬術用に用いられている。日本には1907年に小岩井農場がイギリスより輸入してから本格的な生産が開始され,現在は北海道日高地方を中心として飼育されている。
→ウマ
執筆者:正田 陽一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報