小作料収入だけで生活しうる大地主。千町歩地主はその最上層。地租改正による土地所有権法認を前提に,松方デフレ期に土地金融などを手段に土地集積を進め,地価1万円(耕地15~25町歩)以上の大地主が全国的・普遍的に成立した。醸造業や金貸業などを営み,地方名望家として地方政治にかかわるものが多く,多額納税者の互選で貴族院議員になるものもあった。20世紀に入る頃から,有価証券投資を拡大して資本主義との結びつきを強めたが,第1次大戦後には,小作争議の激化や米価の低迷などで土地利回りは停滞するようになった。第2次大戦後の農地改革によって寄生地主は基本的に消滅した。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
…一般に寄生地主とは,小作農民に土地を貸し付けて地代(小作料)をとることを主としている地主経営の総称であって,農民の賦役労働に立脚する再版農奴主的地主経営に対比して用いられるものである。この寄生地主的経営,地主―小作関係が,農業における支配的・基本的な経済制度として,農業・農民の動向を左右する体制になっているとき,それを寄生地主制という。…
…在郷商人は,こうした多面的な経営を営んだが,その身分は農民であり,農業を営んだ。質地として土地を集め,寄生地主に成長するものもあった。こうした点で在郷商人は豪農であり,在郷商人というときは豪農の商人的側面を見たものであった。…
…地主はこうした意味では階級社会の発生とともに存在したが,農業による生産を主とする時代になって,農地の所有は大きな意味をもち,自己の所有する農地を他人(小作人)に貸与・耕作させ,その代償として地代(小作料)を取り,自己のおもな生活収入とする階層が生じ,これを一般に〈地主〉と呼んだ。また自己の所有する土地を耕作する自作農と区別して,寄生地主ともいう。地主は私的土地所有を進めて大土地所有者となり,経済的,社会的に強力な権力を持つ地主階級を形成した。…
※「寄生地主」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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