小揚(読み)こあげ

精選版 日本国語大辞典 「小揚」の意味・読み・例文・類語

こ‐あげ【小揚】

〘名〙
船積みの荷物を陸揚げすること。また、その人。小揚取。小揚人足。
咄本・私可多咄(1671)一「馬おひは、いつもこあげにゆくといふほどに、子あぐる事がじゃうずであらふ」
② 荷物を運搬する人夫やその荷物。また、特に駕籠かきなどの人夫をもいう。小揚軽子。小揚取。
※評判記・色道大鏡(1678)二「大臣附のこあげ、かけめぐりて簍(かご)を用意し」
徳川幕府がその直領地からの年貢米や買上米を蔵へ収納する時、陸揚げをしたり、あるいは米を量り、俵配りなどをしたりすること。また、それに従事した人夫。〔物類称呼(1775)〕
④ 江戸時代、道中渡し場で、きまった渡し賃以外にとった料金。
※民間省要(1721)中「わざと人を肩に負〈略〉過分の小揚げを目あてにするもあり」
⑤ 小形の油揚(あぶらあげ)
浮世草子諸道聴耳世間猿(1766)二「小揚(こアゲ)買うも悪銭(びた)ひらなか

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「小揚」の意味・わかりやすい解説

小揚
こあげ

江戸時代,江戸に入港する蔵米納屋米を陸揚げすること,およびその作業に従事する者の総称。蔵米の場合は,幕府の浅草蔵役人のなかに小揚頭の指揮する小揚人が 200人ほど常置され,蔵納めする米の検査を行なった。また,納屋米の場合には,荷主 (船頭) が問屋仲買の指定する倉庫に水揚げする際に,「桝回 (ますまわし) 」という俵の検査を行う小揚師がいた。

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