悪銭(読み)アクセン

百科事典マイペディアの解説

悪銭【あくせん】

〈あくぜに〉とも読み,鐚銭(びたぜに/びたせん)とも。質の劣悪な銭貨に対する呼称。種類は時代と場所により異なるが,粗悪な貨は1銭=1文で通用せず,受取りを拒否されたり(撰銭(えりぜに)),価値を低めて流通した。この撰銭は商取引の妨げとなったので,幕府・大名・寺社などは撰銭令を発し,選ぶべき銭貨以外の撰銭を禁じた。江戸幕府は1604年に永楽通宝以外を鐚銭とし,永楽1貫文に対し鐚4貫文とした。

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世界大百科事典 第2版の解説

あくせん【悪銭】

あくぜに,鐚銭(びたぜに)ともいい,粗悪な銭貨のこと。皇朝十二銭の後,貨幣の国内鋳造が絶え,平安時代末から宋銭など中国銭が流入,通用し始め,室町時代に入ると大量の明銭などが流入し,経済活動の活発化にともない貨幣流通が盛んになった。しかし流通市場では金属貨幣の価値は地金の価値に左右されたから,粗悪な銭貨は1銭=1文で通用することはできず,受取りを拒否されたり(撰銭(えりぜに)),打歩(うちぶ)をつけ,すなわち価値を低めて流通したりした。

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世界大百科事典内の悪銭の言及

【撰銭令】より

…室町・戦国時代に,悪銭のうちとくに粗悪な銭の流通を禁止するとともに,その他について撰銭を禁止するなど,銭貨流通に関して室町幕府,大名,社寺などが発した法令。〈せんせんれい〉〈せいせん(精銭)れい〉ともいう。…

【私鋳銭】より

…711年(和銅4)首謀者は斬,共犯者は没官,家口は流罪という重刑が規定されたが,これは753年(天平勝宝5)首謀者は遠流に,780年(宝亀11)共犯者・家口が徒3年・2年半に軽減されるまで現行法として機能した。【栄原 永遠男】
[中世]
 中世では悪銭の一種で,中国銭および日本国内で私的に鋳造された銭貨をさす。中世においては私鋳銭の鋳造自体はなんら処罰の対象とならなかったので,各地で粗悪な私鋳銭がつくられ,1銭=1文の精銭に対して,2分の1,5分の1,10分の1などの低価値の小額貨幣として流通した。…

※「悪銭」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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