尾花川町(読み)おばながわまち

日本歴史地名大系 「尾花川町」の解説

尾花川町
おばながわまち

[現在地名]大津市尾花川・ちやさき

観音寺かんのんじ町の北にある北国海道の両側町で、町境を流れる熊野くまの川には橋が架かる(寛保二年町絵図)。古称を茨川いばらがわ町という。天和二年(一六八二)の本堂奉加帳(九品寺文書)町名がみえる。

尾花川漁師は湖南沿岸に広い漁場をもち、網漁を営んでいた。元亀―天正期(一五七〇―九二)に琵琶湖で最初という大網を工夫したという伝承をもち、京極高次の大津城時代には鯉を納めていたともいう(尾花川親友会共有文書、以下断りのない限り同文書)。慶長六年(一六〇一)沿岸の地引網(大網)の漁場が安堵されているが、それによれば漁場は北は唐崎からさきの松から南は大津・松本まつもと境を流れる常世つねよ川東岸のつね宮までの沿岸で、大網役として鮒三〇〇枚を納めることになっていた。なおこの特権徳川家康上洛のとき、湖岸風呂屋ふろや(荷揚場)で御用船を勤めた功によるものと伝えるが、この網役は漁場安堵以後まもなくに現物納から米一石五斗納めに切替えられ、さらにのち代銀納に替わった。延宝七年(一六七九)幕府領検地に際してはこの網引場の小物成も改めの対象となった。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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