尿がもれる(読み)にょうがもれる(その他表記)Urinary incontinence

六訂版 家庭医学大全科 「尿がもれる」の解説

尿がもれる
にょうがもれる
Urinary incontinence
(お年寄りの病気)

どのような状態か

 排尿する気がないのに尿が出てしまう状態です。尿道外括約筋(がいかつやくきん)がゆるんだり、または排尿メカニズム(図6)が円滑にはたらかない場合に尿がもれます。

疑われる病気

 女性で最も多いのは、出産や産婦人科手術などにより外括約筋が傷つけられて、ゆるんでしまう場合です。立ち上がったり、くしゃみをしたり、笑ったりして、腹圧が高くなった時に、外括約筋がしっかりしまらないため尿がもれます。これを腹圧性尿失禁(ふくあつせいにょうしっきん)(ストレス尿失禁)といいます。高齢女性に多くみられる腹圧性尿失禁は、女性の社会的活動を阻害する大きな要因のひとつになります。

 排尿筋が過敏になり、ある程度膀胱に尿がたまるとがまんできなくなり、トイレに行く前にもれてしまう状態を切迫性尿失禁(せっぱくせいにょうしっきん)といいます。これは脳卒中のあとなどにもみられます。

 尿路に障害があったり、前立腺肥大症(ぜんりつせんひだいしょう)が進行すると、極端な場合には、自分で排尿できなくなり、膀胱いっぱいにたまった尿が、常にたらたら滴下している状態(横溢性尿失禁(おういつせいにょうしっきん))になります。

 また、男性では前立腺肥大症に対して尿道を通して内視鏡手術をする際、あるいは前立腺がんの手術をする際に、外括約筋を傷つけることがあり、尿もれを起こすことがあります。

 そのほか、排尿筋が無意識のうちに収縮する過活動膀胱(かかつどうぼうこう)や、脳卒中など各種の神経病気で起こります。

家庭での対処のしかた

 専門医による正しい判断と治療を受けることをすすめます。

阿曽 佳郎


出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

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