尿道(読み)ニョウドウ(英語表記)urethra

翻訳|urethra

デジタル大辞泉 「尿道」の意味・読み・例文・類語

にょう‐どう〔ネウダウ〕【尿道】

膀胱ぼうこう内の尿を体外に排出する管。男性では陰茎中を走り精液の通路を兼ね、女性では短い。

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精選版 日本国語大辞典 「尿道」の意味・読み・例文・類語

にょう‐どうネウダウ【尿道】

  1. 〘 名詞 〙 膀胱(ぼうこう)内の尿が排出されるときに通る管。男子では一六~二〇センチメートル、女子では三~四センチメートル。〔解体新書(1774)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「尿道」の意味・わかりやすい解説

尿道 (にょうどう)
urethra

尿を膀胱から体外へ運ぶ管。男と女で著しく長さが異なる。尿道の出口を外尿道口というが,男では陰茎の先端に,女では腟前庭に開口する。男性の尿道は尿のみならず精液も運び,長さは15~20cm,前立腺部(3~3.5cm),膜性部(1~2cm),海綿体部(11~15cm)の3部に分けられる。前立腺部は前立腺を貫く部分,膜性部は尿生殖隔膜を貫く部分,海綿体部は尿道海綿体につつまれている部分をいう。女の尿道は尿のみを運び2.5~4cmで海綿体部を欠く。尿道はたてに走るひだに富むほか,尿道凹窩(おうか)と呼ばれるくぼみがあり尿道と平行にのびている。尿道の上皮は男女とも膀胱壁を貫くところは移行上皮であるが,それを出ると男では重層円柱上皮となり,尿道の出口では重層扁平上皮に変わる。女では重層扁平上皮が主体であるが男女とも個人差が大きい。男女とも上皮内には杯細胞や小粘液腺が散在し,上皮下には尿道腺と呼ばれる粘液腺があり上皮に開口する。男性ではこのほかに1対の尿道球腺(カウパー腺ともいう)と呼ばれるエンドウ豆大の粘液腺が前立腺の下にあり,深会陰横筋に埋まるが,この導管は尿道の膜性部下端に開き,射精に先だって亀頭をうるおす。上皮の下には粘膜固有層があるが,ここでは内腔の広い静脈が豊富なのが特徴で,これがとくに大きく発達したものが男の尿道の海綿体部をつつむ尿道海綿体である。粘膜固有層の外に内縦,外輪の平滑筋の2層からなる筋層がある。男女ともに尿生殖隔膜を貫く部分以後はその外側に横紋筋が加わり,輪走する尿道括約筋をなす。
執筆者:

尿道の病気には,炎症,奇形,腫瘍,結石,異物,尿道狭窄,尿道脱などがある。炎症としては尿道炎があり,淋菌性,非淋菌性に分かれる。尿道奇形としては,外尿道口が陰囊近くまで後退している尿道下裂,陰茎背面に開口する尿道上裂がある。尿道形成術で矯正する。そのほか尿道側管,重複尿道がある。尿道腫瘍は大部分悪性の扁平上皮癌であり,手術療法,放射線療法,化学療法が行われる。特殊な尿道腫瘍としては,女子の外尿道口にみられるカルンクルスurethral carunclesがある。良性であるが,症状が強ければ切除する。尿道結石尿道異物は尿道から除去するか,手術を行う。
執筆者:

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「尿道」の意味・わかりやすい解説

尿道
にょうどう

膀胱(ぼうこう)にたまった尿を体外に排出する管(くだ)で、男性の尿道は女性に比べて著しく長い。男性の尿道は、膀胱の前下端から陰茎先端の外尿道口までをいい、全体としてS字状の彎曲(わんきょく)をしている。長さは日本人で約16~18センチメートル、欧米人では約20センチメートルである。尿道の全長は前立腺(ぜんりつせん)部、隔膜部、海綿体部に3大別される。この3部分は、構造および周囲との関係からみると、それぞれに異なっている。

 前立腺部は、尿道がもっとも幅広く、クリの実状の前立腺をその底部から先端に向かって貫くようにして走る。前立腺部の尿道の中央底面には精丘という隆起部分がみられ、この縁には精管からの射精管の開口部が1対認められる。また、精丘の縁には、前立腺からの前立腺管が多数の開口部をもって開いている。さらに、精丘の中央部には前立腺小室とよぶ小口がみられる。これは、胎生期のミュラー管が萎縮(いしゅく)して、その下端部が残ったもので、女性の子宮、腟(ちつ)に相当することから、男性の子宮などとよぶことがある。隔膜部は、もっとも短くて狭い。骨盤の底部を形成する尿生殖隔膜を貫く部分で、この部分の両側に尿道球腺がある(イギリスの外科医カウパーW. Cowper(1666―1706)にちなみカウパー腺ともいう)。尿道球腺は粘性のあるアルカリ性の分泌液を分泌する。この分泌液は尿を中和し、精子通過に支障のないようにする働きをもつとされている。海綿体部は、もっとも長い部分で、勃起(ぼっき)時以外は下方に下がっている。亀頭(きとう)内のうち、外尿道口に近い部分は拡張して尿道舟状窩(か)となっている。また、外尿道口は縦裂口である。

 女性の尿道は、約4センチメートルで、短くて太い。尿道は膀胱から腟前壁を弓状に前方に進み、腟前庭の外尿道口に開く。尿道の内面は粘膜に覆われ、多数の尿道腺があり、粘液を分泌しているが、女性の尿道は、男性に比べると尿道腺が少ない。なお、男性の尿道は、尿の通路であるとともに精液の射出路ともなるが、女性の場合は尿の通路だけである。

[嶋井和世]

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百科事典マイペディア 「尿道」の意味・わかりやすい解説

尿道【にょうどう】

膀胱(ぼうこう)から尿を体外に排出する管。男性では15〜20cm,陰茎の中を通ってその先端に開口し,途中から精液の排出路ともなる。女性では腟(ちつ)前庭で腟口前方に開口し,男性よりははるかに短く2.5〜4cm。尿道の始部には不随意性の膀胱括約筋のほか,そのすぐ下に随意筋性の尿道括約筋がある。
→関連項目陰茎射精管尿道炎泌尿器膀胱

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「尿道」の意味・わかりやすい解説

尿道
にょうどう
urethra

膀胱から外尿道口までの管をいう。男性は約 20cm,女性は約 4cm。男性では尿道括約筋のある部位を境にして,前部尿道と後部尿道に分かれる。尿のほかに精液の通路でもあり,後部尿道に射精管,前立腺管などが開口している。また,いくつかの粘液腺が開口しており,性的興奮で粘液が分泌される。女性の尿道は,発生学的には男性の後部尿道のみにほぼ相当する。

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普及版 字通 「尿道」の読み・字形・画数・意味

【尿道】にようどう

尿の排泄管。

字通「尿」の項目を見る

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