尿管瘤(読み)にょうかんりゅう(その他表記)Ureterocele

家庭医学館 「尿管瘤」の解説

にょうかんりゅう【尿管瘤 Ureterocele】

[どんな病気か]
 尿管下端の膀胱ぼうこう)につながった部分が、膀胱内で瘤状(こぶじょう)(袋状)に膨らむ病気です。尿管の開口部が狭いためにおこると考えられています。
 瘤の中に尿がたまり、さらに上方の尿管も膨らんで、水尿管(すいにょうかん)、水腎症(すいじんしょう)(「水腎症」)になることもあります。
 女児に多く、重複腎盂尿管(じゅうふくじんうにょうかん)(腎臓(じんぞう)内に腎盂が2つあって、それぞれから尿管が出ている形態異常)の上方からの尿管に、尿管瘤が現われることがあります。
[症状]
 小さな尿管瘤では無症状のことが多いのですが、尿の流れが悪いため、尿路感染や結石が生じると、排尿痛、血尿などの膀胱炎症状、発熱、腰痛(ようつう)などの腎盂腎炎の症状が現われます。尿管瘤が大きくなると、排尿障害がおこることもあります。
 ある程度の大きさの尿管瘤は、静脈性腎盂造影(じょうみゃくせいじんうぞうえい)で膀胱内に異常陰影がみられます。尿の通過障害がともなえば水尿管、水腎症がみられます。静脈性腎盂造影のほか、膀胱鏡で確認します。
[治療]
 小さな尿管瘤は、麻酔下で尿道から内視鏡を入れ、切除します。この場合、手術後に膀胱尿管逆流(「膀胱尿管逆流」)がおこりやすくなるので、腹部を切開して瘤を切除し、その後に形成術を行なうこともあります。

出典 小学館家庭医学館について 情報

六訂版 家庭医学大全科 「尿管瘤」の解説

尿管瘤
にょうかんりゅう
Ureterocele
(腎臓と尿路の病気)

 尿管口の粘膜狭窄(きょうさく)を生じたことにより、尿管下端が膀胱内に嚢状(のうじょう)に拡張した病気です。女性に多く、左側に多く発症します。

 静脈性腎盂撮影では、膀胱内にこぶ状の陰影欠損がみられ、コブラヘッドサインといわれる所見が認められます。こぶといわれる嚢状なかに、結石を合併することもあります。尿管開口異常(尿管異所開口)を合併することもあります。

 症状はとくになく、偶然発見されることもあります。治療は嚢状のこぶの一部を内視鏡的に切開するだけで改善します。嚢をあまり大きく切除すると、膀胱尿管逆流現象を起こすことがあるといわれています。

坂本 善郎

出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

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