六訂版 家庭医学大全科 「尿管結石」の解説
尿管結石
にょうかんけっせき
Ureterlithiasis
(腎臓と尿路の病気)
どんな病気か
尿管結石は、腎臓で形成された結石が尿管に下降してきた場合の結石です。
尿管には、
結石が尿管で通過障害を起こすと、激痛が生じます。患者さんは七転八倒するような痛みに見舞われ、冷や汗が出たり、不安におそわれます。
検査と診断
診断は腎結石と同様に、身体所見、尿検査、腹部超音波、CT検査、静脈性腎盂造影を行います。MRI検査は結石の診断にはあまり有用ではありません。静脈性腎盂造影では、腎盂腎杯・尿管の拡張(
結石が腸管ガス像や骨(
尿酸結石やシスチン結石は、X線透過結石であるため(カルシウムを含有していないため、X線像で白く見えない)、単純X線検査では診断できません。その際は、静脈性腎盂造影で尿管の拡張・狭窄が認められ、かつその部位に超音波またはCT像で結石様陰影が確認できれば診断可能です。
尿路結石と区別が必要なものには、腎部・腹部・骨盤内にある石灰化像があります。
①静脈石:中心部が淡く見えます。結石の場合はだ円体をしていて、逆に中心部が濃く見えます。静脈性腎盂造影による尿管の走行で最終的には区別できます。
②消化器系石灰化:胆石、膵臓の石灰化(慢性膵炎(すいえん))、腸間膜リンパ節の石灰化、虫垂・結腸
③その他:腹部大動脈の石灰化、とくに
壮年期以降の場合には、
治療の方法
腎結石と同様で、疼痛がある場合には鎮痛薬(インドメタシン坐薬やペンタゾシンの注射)、鎮けい薬、結石形成抑制薬などを投与し、水分摂取・補液を行います。適度な運動(縄跳びなど)も有用です。尿路感染症を伴っている場合には、抗菌薬の投与も行います。
腎結石と同様に、尿管ステントや
結石が中部尿管よりも腎臓に近い位置にある場合には、体外衝撃波砕石術(ESWL、コラム)を行いますが、これよりも膀胱側に近い下部尿管結石では経尿道的尿管砕石術(けいにょうどうてきにょうかんさいせきじゅつ)(TUL、コラム)を行います。これは、尿道から内視鏡(尿管鏡)を挿入し、尿管口から尿管内へ進めて結石を直視下に観察しながら結石破砕を行う手術です。
最近はほとんど行われなくなった腎盂切石術や尿管切石術は、開腹して腎盂・尿管を切開し、結石を壊さないようにして採石することが基本でしたが、ESWLやTULは皮膚に傷はできないものの、完全に採石できるとは限らず、残石の問題が残ります。ただし、観血的手術の場合は再手術は難しいですが、ESWLもTULも再手術は可能です。
ESWLおよびTULを行ったあとは、尿流を保つ目的で、直径2~2.5㎜の尿管ステントを留置します。ESWLは鎮痛薬(ペンタゾシンなど)または
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報