日本大百科全書(ニッポニカ) 「層状含銅硫化鉄鉱床」の意味・わかりやすい解説
層状含銅硫化鉄鉱床
そうじょうがんどうりゅうかてつこうしょう
bedded cupriferous iron sulfide deposit
主として黄鉄鉱、磁硫鉄鉱などの硫化鉄鉱物からなり、黄銅鉱と少量の閃亜鉛鉱を含む緻密(ちみつ)な鉱石からなる層状の鉱床。キースラーガーKieslager(ドイツ語)またはキースラーガー型鉱床ともいう。泥岩や砂岩などの堆積(たいせき)作用が行われているところで中央海嶺(かいれい)の海底火山活動がおこり、これに伴う熱水作用によって生成されたと考えられる。鉱床の母岩が塩基性火山岩と泥岩、あるいは砂岩の互層からなるのが特徴であるが、広域変成作用を受け、緑色片岩、黒色片岩、珪(けい)質片岩などになっていることが多い。日本の別子鉱床(べっしこうしょう)がモデル鉱床とされ、世界的にも別子型鉱床Besshi-type depositとよばれる。日本のほか、アメリカ、カナダ、ナミビア、ノルウェー、ウガンダ、インド、フランスなど世界各地に分布する。現在カナダ沖のファン・デ・フカJuan de Fuca海嶺北部、カリフォルニア湾グアイマスGuaymas海盆などで生成されつつある熱水鉱床が、地質時代の別子型鉱床に相当すると考えられている。
[鞠子 正]