閃亜鉛鉱(読み)センアエンコウ(その他表記)sphalerite

翻訳|sphalerite

精選版 日本国語大辞典 「閃亜鉛鉱」の意味・読み・例文・類語

せん‐あえんこう‥アエンクヮウ【閃亜鉛鉱】

  1. 〘 名詞 〙 亜鉛と硫黄を主成分とする鉱物。亜鉛の重要鉱石。ふつう少量の鉄・カドミウムなどを含み黄褐色、褐色などで透明または半透明、鉄を多く含むものは黒色でほとんど不透明。金属光沢樹脂光沢を呈する。結晶は四面体、八面体などで等軸晶系。粒状、塊状、繊維状などで接触交代鉱床熱水鉱床中などに産する。〔英和和英地学字彙(1914)〕

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最新 地学事典 「閃亜鉛鉱」の解説

せんあえんこう
閃亜鉛鉱

sphalerite ,zincblende

化学組成ZnSの鉱物。ウルツ鉱(β-ZnS)と多形。Znを置き換えて,Fe(最高26%),Mn(同6%),Cd(同5%),In(同0.5%),Ga(同0.3%)などが入る。ZnSに近いものは白~淡黄色で純閃亜鉛鉱(cleiophane), Feの多いものは褐黒~黒色で鉄閃亜鉛鉱(marmatite)およびクリストファイト(christophite), Cdの多いものはプリブラマイト(přibramite)とそれぞれ呼ばれることがある。立方晶系,空間群, 格子定数a0.5400nm(ZnS)でFeなどが入ると変化する。単位格子中4分子含む。通常,四面体結晶・塊状・粒状などだが,双晶軸(111)で双晶をなし,複合して葉片状となる。劈開{011}完全,断口貝殻状,脆弱,硬度3.5~4,比重3.9~4.1(Fe量が増すと小さくなる)。樹脂状~ダイヤモンド光沢,条痕帯褐~淡黄または白色,透明~半透明。焦電気性。ときに摩擦発光し,紫外線およびX線で蛍光を発する。光学的等方性,屈折率(Na)n2.369(純粋なZnS)でFeが増加すると高くなる。反射等方性で白・黄・暗褐色の内部反射を示す。HClに溶けてH2Sを発する。通常,方鉛鉱・黄銅鉱と共生,接触交代鉱床・熱水鉱床・黒鉱鉱床などに産する亜鉛の重要な鉱石鉱物。変質して異極鉱菱亜鉛鉱になる。1,020±5℃以上でウルツ鉱に転移。方鉛鉱に似ているが,鉛を含んでいないところから,ギリシア語のsphaleros(ごまかしの)から命名。Blendeもドイツ語で同様な意を表す。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「閃亜鉛鉱」の意味・わかりやすい解説

閃亜鉛鉱
せんあえんこう
sphalerite

亜鉛のもっとも普通の鉱石鉱物の一つ。ウルツ鉱と同質異像関係にあり、これについては数種類の多型相が知られている。低~中熱水鉱床、接触交代鉱床(スカルン型鉱床)、黒鉱鉱床、ある種の含銅硫化鉄鉱床、深海のスモーカー(熱水からの沈殿物が堆積(たいせき)した煙突状の構造物)周辺堆積物などの中に産し、黄銅鉱、黄鉄鉱、方鉛鉱、四面銅鉱などとよく共存する。自形は正四面体を基調としたものが多く、晶洞(鉱床中の空洞)に発達する。日本の産地としては、秋田県小坂(こさか)町小坂鉱山(閉山)、宮城県鶯沢(うぐいすざわ)町(現、栗原(くりはら)市鶯沢)の細倉鉱山(閉山)、岐阜県神岡鉱山(閉山)、長崎県対馬(つしま)市厳原町(いづはらまち)対州(たいしゅう)鉱山(閉山)など。英名は、ギリシア語の「あてにならない」を意味するスファレロスにちなむ。方鉛鉱に似ているのに、鉛が抽出できないことによる。

[加藤 昭]



閃亜鉛鉱(データノート)
せんあえんこうでーたのーと

閃亜鉛鉱
 英名    sphalerite
 化学式   ZnS
 少量成分  Fe,Mn,Cd,Cu,Hg,In,Ga,Se,As
 結晶系   等軸
 硬度    3.5~4
 比重    4.10
 色     黄~褐,赤褐黒
 光沢    樹脂,亜金属
 条痕    白,淡黄褐,赤褐
 劈開    六方向に完全
       (「劈開」の項目を参照)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「閃亜鉛鉱」の意味・わかりやすい解説

閃亜鉛鉱
せんあえんこう
sphalerite; zincblende

ZnS 。等軸晶系の鉱物。繊維亜鉛鉱 (六方晶系) とは同質異像。結晶は四面体,十二面体,六面体のものが多く,普通塊状で産する。硬度 3.5~4,比重 3.9~4.1。脂肪または亜金属光沢,鉄分の多いものは金属光沢。純粋のものは白色,鉄分が多くなるにつれて緑,黄,褐,黒色になる。鉄,マンガンなどを含むことが多く,鉄の含有量は最高 26%に達する。ときに摩擦発光し,紫外線およびX線でケイ光を発する。亜鉛の重要な鉱石鉱物。接触交代鉱床,熱水鉱床に方鉛鉱などを伴って産する。

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