磁硫鉄鉱(読み)じりゅうてっこう(英語表記)pyrrhotite

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

磁硫鉄鉱
じりゅうてっこう
pyrrhotite

Fe1~xS (0≦ x <1) の硫化鉄。古銅黄ないし帯赤色で不透明,金属光沢をもつ板状,錐状の結晶。しかし普通は塊状,粒状の集合体である場合が多い。比重 4.58~4.65,硬度 3.5~4.5。温度により変態し,低温型,中間型,高温型に分けられる。塩基性火成岩,ペグマタイト,接触交代鉱床,高温熱水鉱脈などに硫鉄ニッケル鉱や他の硫化物と一緒に産出する。ノルウェーのコングスベル,ドイツのアンドレアスベルク,イタリアのトレンティーノ,カナダのサドバリーなどが有名な産地。 x =0の FeS はトロイライトまたは単硫鉄鉱と呼ばれ,いくつかの隕石の重要な構成鉱物である。

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百科事典マイペディアの解説

磁硫鉄鉱【じりゅうてっこう】

組成がFe1(/-)(/x)S(xは0〜0.125)で表される鉱物。xの値および温度に応じて結晶系,単位格子,磁気的性質も異なり,1C〜6C型およびいくつかの中間型に細分される。ふつう塊状・粒状集合体をなす。黄〜赤黄色で金属光沢がある。硬度3.5〜4.5,比重4.58〜4.65。磁性が強い。高温生成の鉱床や変成岩中に広く分布,接触鉱床,熱水鉱床,キースラーガー鉱床などから産出する。硫酸原料,鉄の鉱石となる。→硫化鉄鉱

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世界大百科事典 第2版の解説

じりゅうてっこう【磁硫鉄鉱 pyrrhotite】

磁性の強い鉄硫化鉱物。鉄と硫黄の比はほぼ1:1であるが,わずかに鉄の方が少ないので,化学成分はFe1~xSと記す。xの値は0~0.125程度。六方晶系であるとして,ほとんどの性質は理解できる。しかし,xの値および温度に応じて結晶系や単位格子,あるいは磁気的性質も,厳密には異なるので,本鉱を加熱した場合に得られる最も単純な単位格子(六方晶系,1C型)を基準として,1C~6C型および幾つかの中間型に細分される。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

磁硫鉄鉱
じりゅうてっこう
pyrrhotite

硫化鉄鉱物の一つ。厳密には、鉱物学的に独立した、少なくとも6種の異なった化学組成の鉱物を含む総称的な名称である。接触交代鉱床(スカルン型鉱床)、含銅硫化鉄鉱床、中~深熱水鉱脈鉱床、正マグマ性鉱床中などに産し、各種硫化鉱物と共存して産する。比較的高温、還元環境下での産物とみなされるが、硫黄(いおう)に比べて鉄の少ないものほど低温でできやすい傾向にあり、また磁力が強い。自形は六角板状ないし短柱状である。日本のおもな産地としては、岩手県釜石(かまいし)鉱山(閉山)、埼玉県秩父(ちちぶ)鉱山(閉山)、茨城県日立鉱山(閉山)、愛媛県別子(べっし)銅山(閉山)などがある。利用法としては、まず焼却して三二酸化物とし、これを鉄鉱石として用いるが、現在はほとんど行われていない。英名は、ギリシア語の「赤」を意味する語pyrrosに由来する。

[加藤 昭 2017年5月19日]

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精選版 日本国語大辞典の解説

じりゅう‐てっこう ジリウテックヮウ【磁硫鉄鉱】

〘名〙 硫化鉄鉱の一種。鉄と硫黄を成分とするが、ニッケルやコバルトを含むこともある。金属光沢を有し、変色すると暗褐色になる。自形結晶は六方または単斜晶系。磁性がある。超塩基性岩や接触鉱床中などに塊状または粒状で産出する。酸化させて鉄鉱石とする。〔英和和英地学字彙(1914)〕

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化学辞典 第2版の解説

磁硫鉄鉱
ジリュウテッコウ
pyrrhotite

Fe1-xS(x = 0~0.2).組成比によって,六方型,単斜型,そのほか種々の超格子構造が知られている.すべてヒ化ニッケル型構造.おもに塩基性火成岩に産出し,ペントランド鉱およびほかの硫化鉱物と共生する.鉄と硫黄または黄鉄鉱(FeS2)をH2Sガス中550 ℃ に加熱して合成する.温度により種々の変態を示す.一般にみられるのは低温型で,六方2C型(troilite,FeS),六方5C型(FeS-Fe7S8),単斜4C型(Fe7S8)がある.320 ℃ 以上で高温型にかわる.硬度3.5~4.5.密度4.58~4.65 g cm-3.板状{0001},へき開はなく,もろい.金属光沢,黄褐色で,磁性に強弱差がある(348 ℃ で消失).FeのかわりにNi,Co,Mn,Cuが含まれることがある.塩酸に溶けて硫化水素を発生する.硫酸べんがらの製造に利用される.含ニッケル磁硫鉄鉱床はニッケル資源として重要である.

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