pyrrhotite ,magnetic pyrire
Fe1−xS(0≦x≦0.125)で表され, NiAs型構造を基本とした超構造を示す鉱物。組成をFen−1Sn(nは整数)で表す場合は,超構造のc軸が基本とするNiAs型構造(六方晶系,格子定数a0.34nm, c0.57)のc軸のn/2倍になるように規則的にFeが欠け,次のような超構造の存在が確認されている。pyrrhotite-4C:Fe7S8,単斜晶系,空間群F2/d,格子定数a0.6870nm(-2A),b1.1903, c2.2784(-4C),β90.4°,単位格子中4分子含み,モース硬度3.5~4.5,ビッカース硬度VHN100373~409,比重4.62。pyrrhotite-5C:Fe9S10,六方晶系,格子定数a0.6888(-2A),c2.8670(-5C),単位格子中4分子含み,比重4.64。pyrrhotite-6C:Fe11S12,単斜晶系,空間群F2/d,格子定数a0.6895nm, b1.1954, c3.4555(-6C),β90.0°,単位格子中4分子含み,比重4.67。pyrrhotite-11C:Fe10S11, 直方晶系,空間群CmcaまたはC2ca,格子定数a0.6892nm, b1.1952, c6.3184(-11C),比重4.647。またpyrrhotite-7H(β-Fe1−xS,六方晶系,格子定数a0.6894nm, c4.015(-7H),比重4.65)のような超構造も知られている。なお,2Cの場合は組成がFeSで,これはトロイライトという別種扱いとなる。これらはすべて肉眼的にはほぼ同じで,真鍮色,金属光沢の六角~短柱状ないし板状結晶,自形はまれで多くは粒状。条痕暗灰黒色。劈開なし。酸によく溶ける。4Cは強い磁性を示す。どのタイプも300℃以上で高温型になり,Feの欠陥位置が無秩序なNiAs型構造となる。ペントランド鉱や黄銅鉱など他の硫化鉱物とともに正マグマ鉱床・熱水鉱床・接触交代鉱床などに産する。酸化すると表面が赤味がかるのでギリシア語のpyrros(赤味がかった)から命名。
執筆者:青木 義和
出典 平凡社「最新 地学事典」最新 地学事典について 情報
硫化鉄鉱物の一つ。厳密には、鉱物学的に独立した、少なくとも6種の異なった化学組成の鉱物を含む総称的な名称である。接触交代鉱床(スカルン型鉱床)、含銅硫化鉄鉱床、中~深熱水鉱脈鉱床、正マグマ性鉱床中などに産し、各種硫化鉱物と共存して産する。比較的高温、還元環境下での産物とみなされるが、硫黄(いおう)に比べて鉄の少ないものほど低温でできやすい傾向にあり、また磁力が強い。自形は六角板状ないし短柱状である。日本のおもな産地としては、岩手県釜石(かまいし)鉱山(閉山)、埼玉県秩父(ちちぶ)鉱山(閉山)、茨城県日立鉱山(閉山)、愛媛県別子(べっし)銅山(閉山)などがある。利用法としては、まず焼却して三二酸化物とし、これを鉄鉱石として用いるが、現在はほとんど行われていない。英名は、ギリシア語の「赤」を意味する語pyrrosに由来する。
[加藤 昭 2017年5月19日]
磁硫鉄鉱
英名 pyrrhotite
化学式 Fe7S8,Fe9S10,Fe10S11,Fe11S12など
少量成分 Co,Ni
結晶系 単斜・六方
硬度 3.5~4.5
比重 4.5~4.7
色 帯赤真鍮
光沢 金属
条痕 灰黒
劈開 無。底面に平行に裂開
(「劈開」の項目を参照)
その他 単斜相も擬六方対称
磁性の強い鉄硫化鉱物。鉄と硫黄の比はほぼ1:1であるが,わずかに鉄の方が少ないので,化学成分はFe1~xSと記す。xの値は0~0.125程度。六方晶系であるとして,ほとんどの性質は理解できる。しかし,xの値および温度に応じて結晶系や単位格子,あるいは磁気的性質も,厳密には異なるので,本鉱を加熱した場合に得られる最も単純な単位格子(六方晶系,1C型)を基準として,1C~6C型および幾つかの中間型に細分される。FeS(x=0,トロイライト,2C型)は厳密に六方晶系。Fe11S12(x=0.08,6C型),Fe9S10(x=0.1,5C型)は単斜晶系。Fe7S8(x=0.125,4C型)は単斜晶系で強い磁性を有す。一般にシンチュウ色で金属光沢を呈し不透明。比重4.58~4.65。硬度3.5~4.5。へき開性はない。通常は塊状または粒状集合体,まれには六角板状,六角錐状結晶として産す。英名はギリシア語のpyrros(火色の)に由来する。塩基性火成岩中にマグマ分化の結果少量含まれるが,ペグマタイト,接触変成鉱床,熱水起源の鉱脈鉱床にも,他の硫化鉱物とともに産す。トロイライトは隕石に含まれ,地球上での産出はまれ。
執筆者:中沢 弘基
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
Fe1-xS(x = 0~0.2).組成比によって,六方型,単斜型,そのほか種々の超格子構造が知られている.すべてヒ化ニッケル型構造.おもに塩基性火成岩に産出し,ペントランド鉱およびほかの硫化鉱物と共生する.鉄と硫黄または黄鉄鉱(FeS2)をH2Sガス中550 ℃ に加熱して合成する.温度により種々の変態を示す.一般にみられるのは低温型で,六方2C型(troilite,FeS),六方5C型(FeS-Fe7S8),単斜4C型(Fe7S8)がある.320 ℃ 以上で高温型にかわる.硬度3.5~4.5.密度4.58~4.65 g cm-3.板状{0001},へき開はなく,もろい.金属光沢,黄褐色で,磁性に強弱差がある(348 ℃ で消失).FeのかわりにNi,Co,Mn,Cuが含まれることがある.塩酸に溶けて硫化水素を発生する.硫酸,べんがらの製造に利用される.含ニッケル磁硫鉄鉱床はニッケル資源として重要である.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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[名](スル)1 人から受けた礼・贈り物に対して行為や品物で報いること。また、その行為や品物。「地酒を贈って返礼する」2 仕返しをすること。また、その仕返し。意趣返し。返報。[補説]書名別項。→返礼[...