改訂新版 世界大百科事典 「屯渓」の意味・わかりやすい解説
屯渓 (とんけい)
Tún xī
中国,安徽省南東にある市。銭塘江の支流である新安江上流の作る盆地の中央にある。徽州地区の中心。盆地の東には歙(しよう)県(徽州),西には休寧県があり,古くからの中心はこの両地にあった。この盆地は安定した自然環境にあって,安徽省では最も農業生産に恵まれた地域であり,明中期以後は新安商人の故郷として全国的に知られるようになった。屯渓は盆地中央の要衝にあり,物資集散のための鎮市が設けられた。周囲は茶,材木,竹等を産し,とくに茶は特別の香気風味を有するところから海外でも珍重され,屯渓でその集積精製が行われるために屯渓茶(屯緑)と呼ばれた。解放後市が設けられ,一時休寧県に復されたが,1975年再び市となった。現在は交通位置と商工業力により,歙県をしのぐ都市となっている。
執筆者:秋山 元秀
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報