山江(読み)やまえ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「山江」の意味・わかりやすい解説

山江(村)
やまえ

熊本県南部、球磨郡(くまぐん)にある村。山田川、万江(まえ)川沿いの狭小な低地を除けば、全域四万十(しまんと)層群の急峻(きゅうしゅん)な山地からなる。とくに仰烏帽子(のけえぼし)山(1302メートル)、高岳(1189メートル)のある北部は森林渓谷美に恵まれ、五木五家荘県立自然公園(いつきごかのしょうけんりつしぜんこうえん)に指定されている。村域の90%近くは山林で、産業の中心は米麦農業を兼ねた林業にあったが、現在野菜などの施設園芸や畜産、クリ栽培、シイタケワサビゼンマイなどの山菜栽培が盛んである。高寺院(たかでらいん)の木造毘沙門天(びしゃもんてん)立像(2体)は国指定重要文化財。中世城郭の遺構山田城跡がある。面積121.19平方キロメートル、人口3238(2020)。

[山口守人]


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改訂新版 世界大百科事典 「山江」の意味・わかりやすい解説

山江[村] (やまえ)

熊本県南部,球磨(くま)郡の村。人口3681(2010)。南西は人吉市に接する。南部は人吉盆地一角を占めるが,北部は丘陵九州山地で占められる。球磨川の支流万江(まえ)川,山田川が南流し,川沿いに耕地集落が開ける。中世以降,相良氏の所領となり,近世にも相良氏の人吉藩領であった。主産業は農林業で,米,雑穀,タバコ,茶,プリンスメロンの栽培などが行われるほか,シイタケ,ワサビ,クリなど,豊富な山の幸を産する。養魚場ではヤマメ養殖も盛ん。南部の高寺(たかてら)院には,平安後期の作とされる木造毘沙門天立像がある。九州自動車道が南北に縦断する。
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