岩間宿(読み)いわましゆく

日本歴史地名大系 「岩間宿」の解説

岩間宿
いわましゆく

[現在地名]六郷町岩間

戦国期、武田氏によって甲斐と駿河を結ぶ河内かわうち(駿州往還)伝馬宿とされ、近世にも引続き駿州往還の宿として機能した。「高白斎記」天文一九年(一五五〇)一月一九日条に「駿府へ為御使者高白参ル、岩間ニ泊ル、伝馬十疋」とあり、武田晴信の重臣駒井高白斎政武が駿河国今川氏のもとへ使者として赴く際に当宿へ一泊し、伝馬一〇疋を使用している。しかし武田領国の拡大と、それに伴う公用・私用伝馬の利用増大により宿の負担が増大したため、「伝馬就無手透悃窮」の実情を武田勝頼に訴え、天正五年(一五七七)七月一六日、勝頼は当宿の要求を認め、それまで甲府までの長距離をつないでいた伝馬役の距離を短縮させ、以後は市川いちかわ宿(市川大門宿、現市川大門町)まで中継すればよいこととし、また私用による伝馬利用を中止させ公用のみに限定している(「武田家印判状」折井忠義氏旧蔵文書)。同八年と推定される八月一四日の穴山信君伝馬手形写(甲斐国志)によれば、当宿は下山しもやま(現身延町)からの伝馬を甲府へ中継するよう命じられている。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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