川崎船(読み)かわさきぶね

精選版 日本国語大辞典 「川崎船」の意味・読み・例文・類語

かわさき‐ぶね かはさき‥【川崎船】

〘名〙
江戸時代北陸地方から東北地方にかけて、タラ、タイ、イカニシンなどの沖合漁業従事した比較的大型の漁船。小廻しの廻船としても使われた。越前川崎、越後川崎などと国名を冠して呼ぶことが多い。垣立(かきたつ)を設けない標準的な日本型漁船だが、明治時代には洋式構造を加え、帆装も洋式化して性能が向上。〔金浦村役猟舟方御役目録(1671)〕
蟹工船に付属する発動機付小型漁船の呼称底刺網敷設、引揚げに従事。
※蟹工船(1929)〈小林多喜二〉二「蟹工船には川崎船を八隻のせていた」

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デジタル大辞泉 「川崎船」の意味・読み・例文・類語

かわさき‐ぶね〔かはさき‐〕【川崎船】

江戸時代から、北陸・東北地方で沖合漁業に使われた大型漁船。
東北・北海道地方で、小型の発動機付き漁船。蟹工船かにこうせんの付属船にも使用

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世界大百科事典(旧版)内の川崎船の言及

【サケ・マス母船】より

…この仲積船には,製品に缶詰が多かったときには貨物船を用いたが,今はほとんどが冷凍品になったので,冷凍魚倉をもつ冷凍運搬船を用いるようになった。母船には救命艇のほかに川崎船とよばれている10~15トンの作業艇を5~6隻積んでいる。これは漁場において仲積船との荷役や独航船の接玄の補助艇として使用されている。…

※「川崎船」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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