精選版 日本国語大辞典 「差し合」の意味・読み・例文・類語
さし‐あい‥あひ【差合・指合】
- 〘 名詞 〙
- ① さしあうこと。ぶつかりあってうまくないこと。さしつかえがあること。さしさわり。故障。また、食物の食い合わせ。
- [初出の実例]「自二今日一可レ被レ行二御懴法一、而依二指合一御八講延引了」(出典:玉葉和歌集‐承安四年(1174)二月一九日)
- 「ふぐと餠とはさしやいだが、ふぐと強飯気遣ひは有るまい」(出典:歌舞伎・お染久松色読販(1813)序幕)
- ② 連歌や連句で同字、同類、同想、同意などの語が規定以上に近づくのを禁じること。また、その規定、およびその書物。去り嫌い。
- [初出の実例]「真実秀逸にてあらば、少少の嫌物に目をかくべからず〈略〉只詞などの指あひ也」(出典:僻連抄(1345))
- ③ ( 形動 ) 他人の前で遠慮すべき言動をすること。さしつかえのある言動をすること。また、その言動やそのさま。あたりさわり。
- [初出の実例]「悪口もさしあひあれば喧𠵅の種なり」(出典:仮名草子・浮世物語(1665頃)一)
- 「お堀端でみかけたが差合なつれであったから声をかけなんだが」(出典:洒落本・角雞卵(1784か)後夜の手管)
- ④ その遊女が、ごく親しい間柄の者のなじみであるために買えないこと。また、目当ての遊女にすでに先客があること。
- [初出の実例]「おもふ君にはさしあひ御座り」(出典:評判記・野郎大仏師(1667‐68)序)
- ⑤ 女性が月経中であること、また、月経をいう女房詞。
- [初出の実例]「内侍殿さし合にて」(出典:御湯殿上日記‐文明一〇年(1478)三月七日)
- ⑥ 他の人と力を合わせて物事を行なうこと。二人ですること。
- [初出の実例]「女中腰元さしあひの、立やすらひ」(出典:桐一葉(1894‐95)〈坪内逍遙〉四)
- 「何やかやそれぞれまとめて番ニョに乗せ、二人で差しあひにかつぐ」(出典:野菊の墓(1906)〈伊藤左千夫〉)
- ⑦ 応対すること。また、応対のしかた。
- [初出の実例]「Saxiaino(サシアイノ) ヨイ ヒト」(出典:日葡辞書(1603‐04))