差掛る（読み）サシカカル

デジタル大辞泉

さし‐かか・る【差（し）掛（か）る】

［動ラ五（四）］
１ ちょうどその場所に至り着く。「山道に―・る」
２ ちょうどその時期になる。ある場面になる。「農閑期に―・る」「事件が山場に―・る」「話が本論に―・る」
３ 上から覆いかぶさる。「枝が軒に―・る」
[類語]通りかかる・通り合わせる・素通り

出典　小学館

精選版 日本国語大辞典

さし‐かか・る【差掛・射掛】

1. 〘 自動詞 ラ行五（四） 〙
2. [ 一 ] ( 「さし」は接頭語 )
   1. ① 上からおおいかぶさる。上からかぶさるようにもたれかかる。
      1. [初出の実例]「キノエダ ミヅニ saxicacaru(サシカカル)」(出典：日葡辞書（1603‐04）)
   2. ② その場に行きかかる。その場に臨む。
      1. [初出の実例]「木曾にちがはむと丹波路にさしかかて、播磨国へ下る」(出典：平家物語（１３Ｃ前）八)
      2. 「三条大橋うち渡りて、祇園林にさしかかり」(出典：仮名草子・竹斎（1621‐23）上)
   3. ③ まぎわになる。切迫する。さしせまる。
      1. [初出の実例]「けふはさしかかった事じゃ程に、先借って来い」(出典：虎寛本狂言・止動方角（室町末‐近世初）)
3. [ 二 ] ( 「さし」は、光がさすの意 ) 光が上から来て物体に当たる。
   1. [初出の実例]「にし日もさしかかりて、あつくたへがたしとはおろかなり」(出典：大鏡（１２Ｃ前）三)
4. [ 三 ] ( 「さし」は、満ちてくるの意 ) 潮が満ちてくる。水量が増えてくる。
   1. [初出の実例]「乗掛の挑灯しめす朝下風〈嵐蘭〉 汐さしかかる星川の橋〈芭蕉〉」(出典：俳諧・深川（1693）)

出典　精選版 日本国語大辞典