己高山(読み)こだかみやま

日本歴史地名大系 「己高山」の解説

己高山
こだかみやま

小高見山とも記し、加賀白山から伊吹山にいたる間の一峰。標高九二二・六メートル。「金葉集」に源頼綱の「衣手に余呉の浦風さえさえて己高山に雪降りにけり」、「夫木抄」に仲実の「こだかみや谷のこぬれにかくろへて風のよぎたる春を見るかな」などの歌がある。当山頂を中心に己高山諸寺が建立されると、中心寺院観音寺を己高山と称した。なお己高山を山号とする寺院にほかに満願まんがん寺・高尾たかお寺・石道しやくどう寺があった。応永一四年(一四〇七)の奥書がある己高山縁起(鶏足寺蔵)によれば、「当山者是当国分地之鬼門 古仙練行之秘窟」で、行基が峰入し堂宇を開創。白山を開いた泰澄も当山で修法し行門を建立。のち最澄が山中の仏閣跡に堂宇を再興したとみえ近江における山岳信仰の中心地であった。「興福寺官務牒疏」は己高山五ヵ寺として法華ほつけ(僧房一〇二宇・衆徒五〇口・行基草創・本尊薬師如来)・石道寺(僧房三八宇・衆徒二〇口・本尊観音・延法開基)・観音寺(己高山頂・僧房一二〇宇・衆徒六〇口・本尊観音・泰澄開基・己高山随一)高尾(己高山頂にあり僧房一二宇、観音寺に属する)安楽あんらく(己高山にあり僧房一二宇)をあげ、ほかに観音寺別院として飯福はんぷく寺・鶏足けいそく寺・円満えんまん寺を記す。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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