巻き波(読み)まきなみ(英語表記)plunging breaker

日本大百科全書(ニッポニカ) 「巻き波」の意味・わかりやすい解説

巻き波
まきなみ

波浪が砕ける一つ形態。波の前面は切り立った崖(がけ)状で、後面は丸く、波の全体が一斉に巻いて砕ける。くずれ波は、沖合いでもみられるが、巻き波は水深の浅くなる海岸部でのみみられる。沖合いでの波形勾配(こうばい)が小さく、海底勾配が急な場合に現れることが多い。

[桜井邦雄]

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海の事典 「巻き波」の解説

巻き波

砕け波の1つの形式で、浅海域に進入した波が対称性を失い、全面が切り立った壁のようになり、頂部の水が前に飛び出す形で巻くように砕けるものをいう。こ の場合、波は一度にどっと崩れることになり、碎波帯は狭い。沖での波の波形勾配が小さい程、また海浜の海底勾配が急な程、巻き波となり易い。前面がそれ程 切り立たない、崩れ波との中間の形をとる碎波を崩れ巻き波という。 (永田

出典 (財)日本水路協会 海洋情報研究センター海の事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「巻き波」の意味・わかりやすい解説

巻き波
まきなみ
plunging breaker

砕波一種で,波の前面が崖のように立ち,波全体が一度に砕けるとき前面が巻くものをいう。波形勾配の小さい沖の波が浅海にくるときにみられる。

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世界大百科事典(旧版)内の巻き波の言及

【磯波】より

…移行帯を進むうちに,波の前面の進み方が遅くなりその傾斜がけわしくなって,波の形の前後の非対称性が増し,ついには不安定になって砕ける。砕波には,波の峰付近から崩れ始める崩れ波,後面が峰から前にせり出して前面を巻き込むように落ちる巻き波,さらに前面の下部から砕けながら進む砕け寄せ波の三つの型がある。だいたいの傾向としては,岸へ向かっての水底(海底)の傾斜がゆるやかなところへ波形のけわしい波が近づいたときに崩れ波型砕波が起こりやすく,また水底の傾斜が大きく波形の勾配が小さいときに砕け寄せ波型砕波が起こる。…

【砕波】より

…水深が浅くなるにつれて波の位置速度は小さくなり,波長が縮まると同時に波高が増し,やがてその形が不安定となって砕ける。磯波の砕け方には巻き波,崩れ波などの型がある。砕波は波浪のような表面波ばかりでなく,内部波のように流体中の密度の不連続な境界面に起きる波でも発生する。…

※「巻き波」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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