改訂新版 世界大百科事典 「市街鉄道」の意味・わかりやすい解説
市街鉄道 (しがいてつどう)
都市内部に発生する交通需要に応じる目的で建設された広義の鉄道をさし,路面軌道(路面電車),高架鉄道,地下鉄道に分類される。路面軌道は道路上に建設して,歩行者,自動車と共用関係を保つ必要から,大型・高速の車両の使用は困難であり,大都市では補助手段の域をでないのが現状である。電車運転を普通とするが,歴史的には馬車軌道,蒸気軌道なども存在した。専用の線路を建設して列車を運転する通常の鉄道は,道路との平面交差をさける必要上,都市内部では早くから立体的に敷設された。市街地に連続する煉瓦あるいは鉄骨構造による高架橋を建設したり,盛土をして列車を運転する高架鉄道は,19世紀後半に著しく普及したが,騒音公害をおこしやすく,また地区分断の原因になるなどの理由で,20世紀に入ると地下鉄道に主役の座を譲った。世界最初の地下鉄道は1863年ロンドンで開業し,日本では1927年東京で初めて開通。なお日本初の市街鉄道は1895年京都の路面軌道であった。
執筆者:中川 浩一
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