国指定史跡ガイド の解説
へいじょうきょうさきょうさんじょうにぼうみやあとていえん【平城京左京三条二坊宮跡庭園】
奈良県奈良市三条大路にある古代庭園跡。1975年(昭和50)に発見され、その後、幾度かの発掘調査が行われた結果、日本古代の庭園の様子を知る歴史上の価値が高いとされ、1978年(昭和53)に国の特別史跡に指定された。園地とともに建物・塀・井戸などの遺構、平城宮で使われたものと同じ軒瓦(のきがわら)、「北宮」「中務省」と書かれた木簡なども出土。当初は奈良時代の初めに造られたと考えられていたが、その後の調査で奈良時代後半のものと判明した。庭園は玉石が敷き詰められたS字状の池が中心で、建物は池とともに春日山などが望めるように東向きに配置されている。中心に池を配置していることから、この敷地全体が宴遊施設になっていることがわかる。1979年(昭和54)から園地は遺構を合成樹脂で補強し、付属の建物と塀を立体復元するなどの整備が行われ、1992年(平成4)には国の特別名勝の指定を受けた。この庭園の北隣が長屋王(ながやおう)の邸宅で池の導水路がつながっているため、この庭園も長屋王邸の一部だとする説もあるが、当時の長屋王の地位とくらべて敷地の面積があまりにも広すぎることから、この庭園と長屋王の屋敷は別だとする意見が有力。近畿日本鉄道奈良線新大宮駅から徒歩約10分。