年金改正(読み)ねんきんかいせい/2004ねんねんきんかいせい/にせんよねんねんきんかいせい

知恵蔵 「年金改正」の解説

年金改正(2004年)

2004年の財政再計算に基づき、04年6月、年金改革法が成立した。主な改正点は、(1)13.58%の厚生年金保険料を04年10月から毎年0.354%ずつ引き上げ、17年に18.30%(労使折半)になったところで固定する、(2)年金給付は負担の範囲内でバランスがとれるようにし、現役男子の平均的な手取り収入の59.3%となっている標準的な年金を、マクロ経済スライドにより、23年度に50.2%まで抑制するが、最低でも半分(50%)の水準は保障する、(3)基礎年金国庫負担を04年度から5年をかけて2分の1に引き上げる、など。こうした改革や積立金の計画的な取り崩しによって、年金財政は今後100年間は安定するとしている。しかし、この改正では将来の出生率を1.39と想定しているが、法律成立の直後に03年の合計特殊出生率が1.29に落ち込んだ(1.25ショック参照)。このほか、女性関心が高い第3号被保険者や、厚生年金をパート労働者にも広げる問題は、5年後に先送りされた。

(梶本章 朝日新聞記者 / 2007年)


年金改正(2000年)

1999年の財政再計算に基づく年金改正で、2000年3月に成立した。主な改正点は、00年度から実施されたものとして、(1)厚生年金報酬比例部分の給付水準を、従前額は保障しながら5%引き下げる、(2)働く世代の賃金上昇率を年金額に反映させる賃金スライドを、65歳以降は行わず、物価スライドにとどめる、(3)育児休業中の厚生年金保険料について、これまでの本人負担だけでなく事業主負担も免除する、などがある。また、13年度から25年度にかけて、厚生年金報酬比例部分の受給開始年齢を、段階的に、60歳から65歳に引き上げる。女性はいずれも、5年遅れで実施する。

(梶本章 朝日新聞記者 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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