翻訳|reserve
会計上、企業が得た利益のうち内部留保として積み立てた貸借対照表の純資産の部に計上される利益留保項目をいう。その積立ては、基本的に企業の意思決定によるもので、法的に強制されるものではないため任意積立金ともよばれる。積立目的の有無からの分類としては、特定の目的があって積み立てる積立金を特定目的積立金とよび、特定の目的をもたないものを無目的積立金とよぶ。具体的には、前者には、たとえば、新築積立金、減債積立金、研究開発積立金、配当平均積立金、中間配当積立金、欠損填補(てんぽ)積立金、役員退職積立金などがある。後者の無目的積立金は別途積立金という。また、租税特別措置法上の準備金(価格変動準備金など)を費用または損失処理(損金経理)せず利益処分で設定した場合、これらの準備金もこの任意積立金となる。会計処理としては、会社法上、剰余金の処分に位置づけられ、株主総会(普通・臨時)の決議を経て、積立時は、繰越利益剰余金から積立金に振り替えられる。取崩し時は合目的取崩しは取締役会決議(配当平均積立金は除く)で、そのほかは株主総会決議により、積立金から繰越利益剰余金勘定に振り替えられる。そして、事後に作成される直近の株主資本等変動計算書にそれら項目の増減として表示されることになる。
[近田典行]
『新日本監査法人・太田昭和センチュリー監査法人編『新会計制度の実務問題3 資本取引の会計・税務』第3版(2006・中央経済社)』
一般に,企業が経営活動を通じて稼得した処分可能利益のうち,株主配当金や役員賞与金などとして支払った後に企業内部に留保した利益の累積額をいう。この意味の積立金は,企業それ自体にとってはいわば〈自己捻出資金〉を意味するが,法定準備金のうちの利益準備金(商法288条)として計上されるものと,それ以外のものとに大別できる。いずれの積立金も,株主の拠出資本(株式資本金と株式払込剰余金)とともに,企業の自己資本の主要な構成要素となる。利益準備金以外の積立金は,主として貸借対照表資本の部のなかの一区分である剰余金の部に記載される。それは,大別すれば任意積立金と当期未処分利益とに分けることができる。前者の任意積立金は,定款の規定や契約の定め,あるいは株主総会の決議などによって計上される利益の留保額であって,中間配当積立金,退職給与積立金,配当平均積立金,減債積立金,設備拡張積立金,偶発損失塡補(てんぽ)積立金などのように,その目的が特定されている積立金として計上される場合もあれば,その目的が特定されていない別途積立金として計上される場合もある。積立金という用語は,狭義にはこのような任意積立金をさしていう場合もある。後者の当期未処分利益は,当期利益,前期繰越利益,および任意積立金の目的に従う取崩額,の三つを主要な構成要素としている。いずれの意味にせよ,積立金の大小は,企業の過去の収益力の大小とともに,自己資本充実の度合を物語るものである。
執筆者:杉本 典之
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…会社の純資産額が資本額を超える額のうち,利益として配当することなく会社に留保する金額をいう。積立金または剰余金とも称されるが,準備金は利益の算出に当たり純資産額から控除されるべき計算上の数額にすぎないのであって,特別の具体的な財産をいうのではない。これには,法定準備金と任意準備金がある。…
※「積立金」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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