年魚市潟(読み)アユチガタ

デジタル大辞泉 「年魚市潟」の意味・読み・例文・類語

あゆち‐がた【年魚市潟】

名古屋市南区辺りの、かつては入り海であった一帯。[歌枕
桜田たづ鳴き渡る―潮干にけらし鶴鳴き渡る」〈・二七一〉

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精選版 日本国語大辞典 「年魚市潟」の意味・読み・例文・類語

あゆち‐がた【年魚市潟】

  1. 名古屋市南区あたりにあった入り海。歌枕。
    1. [初出の実例]「桜田へ鶴(たづ)鳴き渡る年魚市潟(あゆちがた)潮干にけらし鶴鳴き渡る」(出典万葉集(8C後)三・二七一)

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日本歴史地名大系 「年魚市潟」の解説

年魚市潟
あゆちがた

「万葉集」に

<資料は省略されています>

とあり、その名称からして愛知郡内の干潟をさすものと考えられる。熱田台地南方の海浜から天白てんぱく川下流域の鳴海なるみ浦に続く浅海の地に比定できよう。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「年魚市潟」の意味・わかりやすい解説

年魚市潟
あゆちがた

吾湯市(あゆち)、愛智とも書き、愛知県の県名のもととなった。入り江のこと。地名研究者の鏡味(かがみ)完二によれば、熱田(あつた)、御器所(ごきそ)両台地の間の波静かな入り江という。古来、歌枕(うたまくら)の地として知られ、『万葉集』には「年魚市潟潮干(しほひ)にけらし知多(ちた)の浦に朝漕(こ)ぐ舟も沖に寄る見ゆ」「桜田(さくらだ)へ鶴(たづ)鳴き渡る年魚市潟潮干にけらし鶴鳴き渡る」と詠まれている。

[伊藤郷平]

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