愛知県南西部、知多半島北西岸にある市。1955年(昭和30)八幡(やわた)、旭(あさひ)、岡田の3町が合併改称、1970年市制施行。名古屋鉄道常滑(とこなめ)線、同河和(こうわ)線、国道155号、247号が通じる。地形は大部分が新第三紀層の丘陵地で、丘陵上には愛知用水の工業用水調整池「佐布里池(そうりいけ)」があり、ウメの名所として知られる。農業はタマネギ、レタスなどが多く、とくに小型タマネギのペコロスの生産は全国一である。岡田地区は知多木綿(もめん)(知多晒(さらし))の発祥地で、現在も中小織物工場がある。八幡地区は古くから伝わる尾張(おわり)知多万歳の中心で、明治中期の最盛期には万歳師は約1000人を数えた。尾張万歳は1996年(平成8)に国の重要無形民俗文化財に指定されている。牟山(むさん)神社例祭で奉納される朝倉の梯子獅子(はしごじし)は県無形民俗文化財に指定され、知多市歴史民俗博物館は船、網、漁労用具など国指定の重要有形民俗文化財1000余点を収蔵する。ノリ養殖や海水浴場に利用されていた海岸は埋め立てられ、石油精製と火力発電の工場群が立地している。面積45.90平方キロメートル(境界一部未定)、人口8万4364(2020)。
[伊藤郷平]
『『知多市誌』全5巻(1978~1984・知多市)』
愛知県西部,知多半島北西部に位置し,伊勢湾に面する臨海工業都市。1970年市制。人口8万4768(2010)。江戸時代中期,中央部の岡田で発祥した綿織物業は知多さらしの名で知られ,現在も輸出向けの広幅物が生産されている。1962年に始まった名古屋南部臨海工業地帯の造成により石油,LNG,発電を中心としたエネルギー関連産業,鉄鋼業,配合飼料,糖化製品製造業などの工場が進出し,以前盛んであった沿岸漁業,ノリ養殖,海水浴場は姿を消した。農業は都市近郊型農業の性格が強く,稲,野菜,果樹,切花,観葉植物の栽培などを含めた複合経営が行われている。東部の丘陵地は名古屋都市圏の住宅地として昭和40年代に次々と宅地開発が進められた。名鉄常滑線朝倉駅の近くに知多市歴史民俗博物館があり,重要文化財の漁労関係の民具,知多木綿の生産用具などが展示されている。伝統芸能として尾張知多万歳,朝倉の梯子獅子(はしごじし)が有名。
執筆者:溝口 常俊
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